第四話:太田里美
4毎日差し出される衣装はコスプレに近かった。
女子高生だったりメイドであったり・・・時にはOLでの衣装もあった。
勿論、下着も用意される、そのほとんどがブラジャーとショーツのお揃いの物だった。
だが、弓は対であるブラジャーを意図的に身に着けなかった、まだほとんど乳房が大きくないのと反抗的な気持ちもある。
この反抗心に対しては
里志を監禁する組織の制裁はなかった。
壁に組み込まれたクローゼットは目覚めて以来、毎日違う衣装を着せられ収納していったため一杯になりつつあった。
靴の収納スペースも同じだった、何十足もの靴が、ハイヒールが所狭しと並べてあった。
ヒールの高さは一様に十センチくらいで総てがピンヒールだった、だが、どう見てもどう考えてもオーダーメイドしか見えなかった。
また、ショーツを含めた下着に関しては毎日三着の支給があるため百対を目途に使いまわしにしていた。
それでも三日に一度は新しい下着が供給されるので整理箪笥は下着で溢れていた。
里志の
俺は男だという反抗心から使われないAAカップのブラジャーが箪笥から姿を消したのは目覚めてから一か月目の頃だった。
だが
里志の身体に変化が現れたのだ、角張った
里志の顔がふっくらとし、身体全体に脂肪が付き始め、丸みを帯びてきたのだった。
同時に胸がぷっくりを膨らみ始めたのだ。
里志自身、膨らみ始めた少女の胸など見たことはないが、明らかに自分の胸が大きくなってきているのを感じたのだ。
小さな胸の膨らみは歩いたくらいでは揺れを感じなかったが、その揺れを感じるようになったのは更に大きくなり始めた二か月くらいたった頃だった。
大きさにしたらAカップとBカップの中間だろうか、だが、すでにブラジャーの供給はされていない。
同時に大きくなり始めた乳首が衣類に擦れて痛みを感じるようになっていたのだった。
長くなっていた髪の毛もさらに長くなり、肩甲骨に届くようになっていた。
この髪もここ三か月で伸びる速度が速くなっているのと細くなりさらさらになってきているのに気が付いた
里志だった。
ぼさぼさになり絡み付くのをきらった
里志は毎朝ブラッシングをし、一つに纏め、輪ゴムで結えていた。
それが段々とポニーテールになり、まるで女の子の髪形になっていたのだった。
そんなある日のことだった、
里志は朝からお腹がシクシクと痛むのを・・・いや、痛いという感覚ではない。
何か不快感を感じるのだった。
初めての経験だった、男性器から無理やり女性器に変えられ、反抗的な態度でも強引に女装を強制させられる毎日、まさに不遇の生活だった。
里志は下半身にじわっとするものを感じたのだ、何かが身体から流れでてくる。
そして、ショーツのクロッチに湿り気を感じたのだった。
“あちゃぁ・・・漏らしたのかぁ・・・チクショウ・・・こんな身体にしやぁがって・・・” 慌ててトイレに入り、便器に座りスカートを捲り上げる、そしてショーツを降ろす、オシッコをする時の動作だった。
だが、今回はショーツの湿りを確認するために便器に座ったのだ。
ショーツを太腿の中間まで降ろし、確認する。
真っ赤だ、いや、どす黒い血で汚れていたのだ、ショーツのクロッチが・・・
“・・・なんだぁ・・これは?・・・血かあぁ・・・俺の身体・・・どうなっちまったんだよ・・・” その時、ドアーが開き、肌もあらわな若い女性がいつもの男を従えて入ってきた。
その女性、年はまだ二十歳そこそこくらいだろうか、兎に角、胸の谷間が見えるほどのキャミソールを着、かがめば下着が見えてしまうほどの超ːミニスカートで
里志の前に姿を現したのだった。
胸の谷間を見ただけで
里志の股間は勃起した、だが勃起する器官はもうない。
幻視なのか・・・
男時代を忘れられない
里志の身体は女に変えられていてもペニスが勃起しているように感じたのだった。
そして
里志は慌ててミニスカートの上から股間を押さえるが、押さえる突起は今はもうない、有るのは勃起した男のペニスを迎え入れる女性器、膣だった。
「こんにちは・・・今日から
貴女にお化粧とか、女の子の身嗜みを教える
ユミよ・・・よろしくね」
「・・・・・・」軽やかな透き通るような声だった、そしてなにより途轍もなく美人だ。
まるで女優のような容姿を持つ
ユミは
“裕美” と書くらしい、
里志はいっぺんに
裕美に恋をしたのだった。
この時の
里志の心の中には今
自分が女の子に変えられていることなど頭の中にはなかった。
その恋心を
裕美の言葉が一遍に吹き飛ばしたのだった。
「生理がきたみたいね・・・これで
貴女も赤ちゃんを産める女の子ね」
「・・生理?・・・赤ちゃん?・・・産めるって?」「
貴女の身体に子宮や卵巣を移植したのよ・・・それが今定着し活動し始めたのよ・・・」
「い・・嫌だ・・こんな身体・・・元に戻せ・・・」「あら・・・その身体・・・嫌い?・・・綺麗で可愛いのに・・・う~ん・・・顔をもう少しいじれば・・・
麗羅姉さんに言っておくわ・・・あと・・・もう少し女の子らしくしないとね・・・」
「・・・くそっ・・誰が・・・」「ほらほらその言葉使い・・・乱暴な男の言葉を使うたびにこの坂田に折檻させようかしら・・・」
「うっ・・・くぅ・・・くそっ・・・」その瞬間、坂田なる男が
裕美の前に進み出たのだった、と同時に
里志も後ずさりした。
「いいこと・・・
貴女はもう女の子なの・・・あまり言うことを聞かないなら他の部屋で控えている男たちに
貴女を犯させるから・・・毎日毎日男たちの慰みものになる?」
「・・・ううっ・・・」裕美の
犯させるという言葉におとなしくなった
里志だが、これから始まる女性化にどこまで耐えられるのか。
まず
裕美は
里志に椅子に座らせたのだった。
「さぁ・・
里美ちゃん・・・ここに座って」
「・・・里美?・・・」「そうよ・・・
貴女はこれからは
里美・・・安直だけどね・・」
「・・・・・・・」「まずは・・・これを着て・・・」
抵抗もなく
里志はそれを着る、毎日繰り返されるコスプレの一貫だった。
“今日はどこの女子高かなぁ?” 半袖の夏用セーラー服に濃紺のプリーツスカート、さらに同色のハイソックス、そしてこの姿には不釣り合いな黒のピンヒール、いつもの十センチ物だ。
白くなった腕と同じく白くなりやや丸みと膨らみを見せ始めた生脚を見せている。
そして
裕美は
里志の顔に向かい、毛抜きで眉を細く整えていく。
さらに修練化粧水で肌を引き締め、ファンデーション、ハイライト、マスカラ、アイシャドーなどを塗っていく。
“手順を覚えなさいよ” と言われても
里志はフンというような表情しか見せない。
それでも
里志の顔はナチュラルでありながら男の欠点を隠していた、さらに薄いピンクのルージュで可愛い女子高生になったのだった。
“あれ?・・・俺って・・・けっこう・・可愛いじゃん・・・”