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麗羅の館Ⅳ

第一話:友永陽子

顔の整形から1週間後、包帯がとかれ、まだ晴れている顔をみて、陽子の落胆ぶりが表情に表れていた。
麗羅はその顔を見てクスリと笑い、
「陽子ちゃん、ブスでしょ・・・そんな顔じゃあ」
「・・・・・・」
「あらあら、黙ったままね、あと1週間待ちなさい、そしたら気に入るとおもうわ、その顔が」
「・・・麗羅先生、どういうことなの?」
「うふふ、まだ手術あと、間がないから腫れているだけよ、安心して」
裕美が横から口をはさむ。
整形手術を行った人が包帯を取った時の表情はみな同じだった。
そばでみていた麻美の表情も同じだった。
裕美の言ったとおり顔の腫れが引くに従い陽子の顔はあのイドルタレントそっくりになっていったのだった。

入院二週間目に入り女性器を造る手術、いわゆる性転換手術が行われる。陽子が性同一障害であるなら性別適合手術になるのだが、その判定を麗羅はしていない。なぜなら陽子はすでに睾丸を失っており、母麻美のいうように女性として生きるほうが陽子にとっては賢明な選択だったからだ。
麗羅もそれがベターな生き方だと思ったから、この幼い子の性転換を行うことにしたのだった。
むろん男の性をもどしての選択肢もあるが、男から女への性転換のほうが完璧に行えるという自信があったからに相違ない。

全身麻酔を打たれた陽子は手術台で股を広げて横たわっていた。可愛い寝顔も陽子のいまの姿は男を誘っている娼婦のようだった。
通常患者から下半身が見えないようにカーテンが上半身との境目にひかれるのだが、陽子の場合全身麻酔ということもあってなにもなかった。

陽子の性転換手術はペニス反転法で行い、またこれは最も一般的な膣形成法だった。
ペニス皮膚を裏表にして膣を形成し、腺と神経によってクリトリスを形成し、普通の性感を維持することが出来のだ。そして陰嚢皮膚を使ってより深みのある膣を形成する。
しかし陽子のペニスはまだ幼いこともあり、また幼少のとき睾丸を敵失しまったことにより十分成長していなかった。
そこで麗羅はこの膣の部分には彼女の開発した臓器培養液で作られた膣を使うことにしたのだった。
先日採取した皮膚から膣の形成をしたのだった。
その形成された膣を陽子に移植しようというのだ。

ペニスと肛門の間に穴をあけ、そこに形成膣を移植する。
もちろん陽子自身の皮膚からの形成だから拒絶反応は起こらない。
そしてこれは陽子の身体に癒着し、彼女自身のものとなる。
また機能のほうも一般女性と同じように自然洗浄、癒着もしないものだった。
したがって一般性同一障害者の性転換手術と違いダイレーターの挿入の必要もなかった。

手術は5時間ほどかかった。
その間、麗羅と裕美の二人だけの手術だったがほぼ完璧に今日は行われた。
あとは陽子の傷の状態を見ながらつぎの手術をするのだった。
二週間くらい痛みに悩まされた陽子だったが母麻美の励ましもあり、笑顔が戻ってきていた。
陽子が女の子を感じるのはおしっこをするときだった。
以前から座っての用足しだったが自分のおちんちんをつまんで下方にさげていたが、いまはそのつまむものがない。
そして尿意を感じると以前とは違い、あっという間に漏らしてしまうのだった。
以前のように辛抱できない。これが女の子かと思い始めていた。

パジャマから可愛いピンクのネグリジェにかえ、ヘアーアレンジをして楽しむ、これが陽子の入院中の遊びだった。またまだ早いという母をときふせてのメイクの練習。
自分が女の子になったという実感が欲しかった。

入院している部屋はまるでホテルの一室のような作りだった。
そこから眺める外の景色は緑にかこまれた公園のなかのようだった。
道行く人の姿などは全く見えない。
その中でたまにこの館を訪れる人を発見するとなんだか嬉しい気持ちになる。
今日も一人訪れる女性を見かけた。
綺麗な女性だった。
そういえばここに訪れる人はみな綺麗な女性ばかりだということにきずいたのだった。

麗羅からはこの部屋から出ることを禁じられていた。
母麻美から聞いたことだがここには他にも入院している人がいる、中には知られたくない人もいるので、というのが部屋から出ることを禁じられている理由だったらしい。
バス、トイレは部屋の中にあり、食事は裕美が運んできてくれ食器を下げてくれる。
部屋から出る理由がなかった。
またこの館は円形をしており、中心に手術室がある。
外側が患者の部屋だから直接手術室まで行けるのだった。
そして下からはエレベーターでしかはいれなかった。
またその手術室には階段が付いていてどこでもいけるような仕組みになっていた。

今日も母が来ていた。
毎日五時まで仕事をし、こうして陽子のところに来るのだった。
その母も最近感じが変わってきていた。
明るくなったのだ、顔の表情も服装も。
よく見ると、服装が暖色系のものが多くなったせいもあるが顔にもいくらかの化粧をしているようだった。
以前は自分の容姿に自信のないことからたいしたお化粧もしなかった母麻美だったが最近ではナチュラルメイクをしているようだった。
陽子のメイク姿に誘発されたのだろうとも思ったが、一重の目が二重になっていた。
「あっ、ママ二重になっている。整形したの?」
「うふふ。わかる?プチ整形よ」
「そうなの?でも少し綺麗になったよ」
「そう?娘が可愛いのに母親がブスだと疑われるでしょ」
「なにそれ?整形した言い訳?」
「でもないけどね、やっぱり女は綺麗なほうが得でしょ」
「そうね、あたしももっと綺麗になりたい」
「まあよくばりね」
「そうよ。可愛い女の子は欲張りなの」
「「うふふふ」」
母娘の明るい笑い声は部屋中に響いていた。

入院二カ月がたち陽子に子宮、卵巣が移植された。
この臓器も例の培養液で造られたものだった。
精巣から取った細胞を子宮、卵巣に成長させそれには陽子の遺伝子もそのまま含まれていたのだった。
もちろん拒絶反応は起こらない。
また一週於きのホルモンには染色体をXYからXXに替える成分も含まれており、陽子の身体は完璧な女の子に変わりつつあった。

入院四カ月がたち、日の当らない陽子の肌が以前にもまして白くなっていた。
その姿はまさしく深層の令嬢だった。
その白さの原因はただ日に当たらない生活だけではなかった。
時折打たれる女性ホルモン以外の注射、それは肌を脱色させるものだった。
それにより陽子の肌は雪のように白くなっていた。

今日は乳房の検査だ。
女性ホルモンの投与、染色体も替わり、陽子の乳房もやや大きくなり始めていた。
それにより乳腺が発育し始めたのだった。
一応培養液で乳腺も育てていたのだが、自分の身体で発育できればそれに越したことはない。
移植は中止された。
また子宮、卵巣、なによりも骨盤も順調に成長していてそろそろホルモン投与も中止されるだろう。
そして間もなく陽子には女の子の証、生理が始まる。
麗羅の役目は終わった。
一人の生殖不能の男の子が子供も産める女の子に替え、その子の将来に希望をもたせたのだった。

一ヶ月前から始まった、麻美と陽子の新しい生活は、心地よいものだった。ここに引っ越して、すぐ通いのお手伝いさんを雇い、麻美も美容整形で目を、二重に整形していた。これが一番気づかれるので、これからすることにしたのだった。やはり、目を二重にするだけでかなり感じは変わる。それなりの美人になったと、彼女は思っていた。しかし、陽子に言わせれば、まだまだ自分とは釣り合わないと不平を言っていた。
釣り合いを取らせようとは思わないが、少し綺麗になっただけで、男達の視線が変わることには気づいていた。だからといって、服装が派手になることはなかった。
陽子はもう少しおしゃれをしたらというが、彼女自身、服装にお金をかけることが嫌いなたちだったんだろう。一応社長という立場上、月に一度は服を新調はするが、高級品と呼べるものなどなかった。デパートの婦人服売り場で、できるだけ安いものを買い揃えるだけだった。そういう意味では、彼女の秘書のほうがブランド服に身を固め、おしゃれといえばおしゃれだった。みすぼらしいとまではいかないが、顔立ちに似合い、貧弱だった。それが、二重にしただけで同じ服でも、高級そうに見える。
やはり、美人のほうが得かなと思い始めていた。
さらに、異性からの誘いも多くなってきていた。以前もあるにはあるたが、あからさまなお金目当てだった。確かに、まだ30歳である。それなりの人物があらられれば、再婚もいいかなと考えていたところだった。しかし、これにより男への不審感が募ったようだった。所詮男なんてその程度かと。

しかし、美への追求はさらに、加速していった。次は鼻を高くし、次は頬と歯の矯正、角顎だったのを、先のとがった女性らしいように、またその間に胸と尻にシリコンを入れ、脂肪吸引でウエストを細くし、さらにエステも欠かさなくなっていた。しかし、服装のほうはというと、やはりおなじだった。どうやら、意地になっているらしい。同じ服装でどこまで、外見で、男が振り向くかを。
しかし、彼女は裕美の言ったように一度には整形しなかった。特に顔は、半年の間隔を置いて行い、見えないところは、気にすることなくどんどんおこなった。

そして、二年もたった現在、陽子に負けないくらいの美女に代わっていた。その間、スタイルを保つためにさまざまな努力もしてきた。以前は、食べたいものを食べたいときに食べていた。それが今は、カロリーを考え、運動もし、健康にも気を使うようになっていた。そのせいか、肌も綺麗になり、化粧栄えもするようになっていた。

陽子はというと、学校が変わり、まったく違った変身のせいもあり、性格も明るくなっていた。医学的にも女性と認められ、戸籍も変わっていた。医者の診断は、生後の性別判断のミスということだった。確かにそうせざるを得なかった。
いまでは、完全に女性としての性機能が働き、生理も毎月規則正しくきていて、身体は勿論、胸やヒップはどんどん大きくなっていた。ウエストも、母親の影響で気を使っていたせいか、細くくびれていた。
街をあるいていても目に付くらしく、よくタレント事務所からの誘いがあった
が、麻美は断じて、了解はしなかった。
別に有名にならなくても、お金はある。
それに変に有名になったりしたら、目ざといマスコミに過去を暴かれる可能性のある。そんな危険は避けたかった。陽子のほうも、それほど芸能界に興味は持っておらず、ほどほどにあしらってくるようだった。
彼女も中学生になり、男の子から誘いはあるかと聞いたことがあった。そのときの彼女の答えは、“あんまり”だった。成績もよかったせいもあるが、有名私立女子中学に入っていたせいかなとも思った。
しかし、陽子にいわせれば、女子校だから男子校の人からの誘いも多いとのこと、自分はもてないと嘆いていた。なんとなく、分かる気がする。あまりに綺麗過ぎるため、もう他に彼氏がいるとか、
お高く留まっているとか、近寄りがたいものがあるかもしれない。

身長の方も麗羅の言ったとおり、すでに175cmを超えていた。スポーツクラブからの誘いもあるようだが、本人は汗臭さや日焼けを嫌って、誘いには乗らないようだった。だが、運動神経は決して悪いほうではない。麻美も父親もスポーツ万能だった。
また陽子自信、小学校の運動会の徒競走では、彼女より速い子はいなかった。ただ、女の子の格好をしていたので、いつも女子で走っていたせいもある。しかし、子供の身体格、特に小学生のときは、女の子のほうがあるから、なんともいえないが。
女の子に変わって1年くらいたったころの陽子は、自分の容貌に自信を持ち始め、何かにつけ容姿の悪い子を見下すところが出てきた。そんなときは麻美は心を鬼にして、しかりつけるのだった。時には、手を上げることもある。泣きながら、しかりつける母親を見て陽子はいつも、十分反省すのだった。
そんなこともあってか、いまでは実に素直な子に育ち、麻美も自慢できる子になっていた。
ただ、仕事の関係上、家を留守にしがちで寂しい思いはさせていた。だから、休みの日などはできるだけ一緒にいてやることにしていた。
きょうも、陽子と買い物に行くことにないた。たぶん洋服をねだられるであろう。それもひとつの罪滅ぼしと諦めている。会社のほうも、この不況の中、彼女の才覚のおかげで、好調そのものだった。あとは、いかにして陽子に譲るかである。陽子が別の道を見つければそれはそれでいい。
とにかく、まずは陽子のためにという生活をしてきたが、麻美とてまだ若い、女ざかりの32歳である。浮いた話もなくはないが、すべては陽子中心の生活であった。

麗羅の館Ⅲ

第一話:友永陽子

一週間前、麗羅の診察を終えた後、麻美はすぐに引越しすることを思い立った。こうなると、彼女の行動は早い。この行動力が今の彼女の成功の秘訣だろうが、翌日には、家を決め二日前には引越しを済ませていた。今まで住んでいた所も結構、高級住宅街だったが、こんどはそれ以上だった。そんな気持ちにさせたのも、近所、陽子の学校のことを考えてのことだっただろう。まったく知らない土地でまったく新しい陽子を育てたいという、母心だったに違いない。

陽子はいま麻酔をかけられ、あの別室に備えられているベッドに横たわっていた。母麻美の姿はない。
今日は部分的に細胞を摂取するだけだった。
天才的なメスさばきで陽子から少量の肉片を切り取っていく。
そしてそれよある培養液に入れていく。
十数個の最後は内太腿から皮膚を2~3cm四方くらい切りとって作業を終了した。
そして麗羅は、部屋を出て麻美と裕美に、
「あとの措置・・・裕美ちゃん、お願い・・」
「・・・は~い・・」
裕美の軽い返事に麗羅は、笑いながら睨み返し、麻美に向かって、
「これで、今日はおわりです。・・後のことを少々、お話したいんですが・・」
「ありがとうございます、・・・後のこととは?」
「まず、髪の毛の長さは・・・」
「・・今のままでいいと思うんですが・・あの子の意見も・・」
「そうですね、・・あとは、手術の連続になります。痛みに耐えかねる時もあります。そのときは、母親として、はげましいたわってあげてください。」
「はい、わかりました。でも、どのくらい期間になるでしょうか?」
「およそ半年くらいです、でも陽子ちゃんのような幼い子はわたしにも経験がないので・・・。若いゆえに回復も早いと思われますが・・・あと、若干大人びた身体にさせますので、生理もすぐ始まります。妊娠、出産も可能ですので、性交渉はくれぐれも・・」
麻美は目を丸くしながら、あわてたように首を振った。とんでもないというような感じである。しかし、麗羅は意に介した様子もなく、
「後は、普通の女の子のように成長しますので、心配なさらないでください」
「はい。・・・これであの子も、幸せになれます」
「・・・・術後の一年は、毎月ここに来てください、結果を見ます。変調とかがあったら大変ですから・・」
「・・なにか、あるんですか・・・」
「・・なにかあるというより、肌のチェックとかです。あと、性機能が正常になっているかどうかとか・・・脳とか五感をつかさどるもの、内臓等は変えていませんから、心配なさらないでください」
「そうですか・・・性機能といわれると、男に戻ってしまうってことですか」
「ありえません。ただ、ここまで幼い子は、初めてですのでデーターがないのが現実なのです。そのデーターを作るのにも、協力してもらいたいんですが、お願いいただけるでしょうか」
「・・・実験台ですか・・」
悲しそうな麻美の言葉に、麗羅はきっぱりと言い放った。
「そうです、今後、陽子さんのような子達のためです。誰かが先駆者にならなければ、不幸な子を救うことはできません。そのためのデーターです。ただわたしとしては、今回の処置には、自信があります」
「・・・失礼いたしました、・・言葉が過ぎました」
「こちらこそ、きつく言い過ぎました。いままで、137人の方を異性にチェンジしてきましたが、一件たりとも不都合はおこっていません。先ほども、申しましたが、成長過程の子ははじめてですので・・・」
「・・・その方々は、お子さんを・・・」
「ええ、女性になられた方は全員、出産されています。やはり、確かめたいんでしょうかね、本当かどうか。また、子供がほしいという方達を選んでいるせいもありますが・・」
「・・・じゃあ、わたしも、おばあちゃんになれるんですね」
「はい、もちろんです。ちゃんと戸籍さえ作り直してあげれば、幸せな人生がおくれると思いますよ」
「はい、がんばります」
「そろそろ、・・・・目覚めたころですから、こちらへ・・」
麻美を誘導しながら、また別室、性別適合手術室のある部屋の、北側の小さな部屋、といっても南側の三室が大きすぎるので、小さく見えるだけでバス、トイレ付の8畳はあろうか。絨毯敷きで、ふかふかそうなベッドと全身が写せる大鏡があるだけだった。
部屋にたどり着いた二人は、バスルームから陽子の裕美出て来るのを待った。二三分の後、にこやかな裕美のあとから、まだ眠そうな半身バスタオルで包まれた陽子が出てきた。その彼女の顔を見ただけで、麻美の顔はほころんだ。「・・・バスタオルを、取って・・」
麗羅の言葉に、陽子は恥ずかしそうにためらっていたが、おずおずと取り去ったバスタオルの下から、ところどころに包帯や絆創膏がはってあり痛々しい姿だった。
「うん、。・・・まず、写真を撮らせて・・・それから、採寸・・」
写真の言葉にやや拒否態度を示した陽子だったが、どこから取り出したのか、裕美がカメラを手に、陽子を撮りくっていた。胸や性器を隠そうとする陽子に麗羅の厳しい言葉が飛ぶ。
「隠すのはやめなさい。・・・誰に見せても、恥ずかしくない綺麗な身体にするためだから・・大丈夫、ちゃんと女の子にしてあげるから・・」
「じゃあ、鏡でいまの自分を見てみなさい」
麗羅の言葉にも、恥ずかしいのか、怖いのかためらっていた陽子だったが、やがて意を決したように振り返り、自分の姿を、鏡に映していた。その表情は、鏡越しに他の三人にも見て取れた。
包帯姿の自分にやや顔を曇らせた。

麗羅は、
「さあ、採寸しましょう・・」
厳しい表情をしながら、裕美は陽子を北側沿いの隣の部屋へ導いた。
その部屋も、今の部屋と同じ造りだったが、採寸に必要なものはもちろん、鏡台、クローゼットなどが置いてあった。
全裸でいることになれたのか、女性ばかりだったので安心感があるのか、また今の自分の姿を目にやきつけたのかとにかく陽子はもう性器や胸を隠さなくなっていた。
裕美は手馴れた手つきで、身長、体重を量り終えた。
「身長158センチ、体重40キロ・・あとは、スリーサイズです」
それを、聞いた麗羅は、写真を数枚、その部屋においてあるパソコンに取り込みスリーサイズを割り出していた。身長、体重の数値を入れ、全身の写真に当てはめると、小さなウインドウに数値が出てくる。それを、読みあげた後、プリントしたバスト83,25cmウエスト42・53cmヒップ85・34cm”
これはもう、立派な大人の体系だった。ちょっと顔をしかめながら。麗羅は、プリントをおえたB5用紙を麻美に手渡しながら、
「術後のサイズです。まだ、伸びますから、最終的には・・・・両親の体系をから判断しますと、175cmを超えるかもしれません。バストは95cm近く、ウエストが・・・理想は58から62・3です。ヒップのほうはと・・普通、男のままですと、骨盤が女性より小さいのでいつもは、意図的に大きくするのですが、陽子ちゃんの場合、小さいころ男性機能を失っていますので、このままで、今後の女性ホルモンの働きに期待します。・・たぶん、95cmくらいでしょう」
「175cmにもなるんですか・・」
「あなたが168cm、おとうさまが175cm・・・これを現代の体系に当てはめますと、・・これくらいです。ただ、背骨の間隔をつめ、肋骨を一対とります。これによって脚の長さは白色外人以上になるはずです」
「・・・・は・・・い・・」
麻美にはまだ先のことで、想像からの判断なことなのでよく理解できていないようだった。しかし、麗羅は矢継ぎ早に、
「これから、14歳くらいまではかなり早い成長になりますので、下着は勿論、洋服、ぴったりとした洋服の買い置きは避けてください。すぐ着られなくなりますから」
まだ、理解できていない麻美だった。

二人はそんなやり取りをしながら、麻美と陽子を次の部屋へ案内した。
「ここで入院中は過ごしてもらいます。」

「お母さんも、顔だけでも変えます?」
などというものだから、麻美は顔満面に笑みを浮かべながら、
「できます?・・・あっ、わたし、会社に行かなくっちゃ、いけないんだわ・・・あまり変わっても社員が驚くし、・・・残念だけど・・・」
「どおせ、毎月くるんだから、少しずつ変えていったら・・」
裕美もその気になっていた。麗羅はいまは、ただ黙っていた。しかし、そんな裕美の言葉に麻美は、
「そうですね・・・そうですね・・・みんなが見慣れたころ、また変えれば・・そのうちに昔のわたしに顔など忘れてしまいますね・・・」
妙に納得し始めた麻美だったが、麗羅が横槍を入れた。
「そんなことでしたら、そのあたりの美容整形でできますわ」
麻美の変身話は終わりである。しかし、その様子なら他の病院で生計手術をするかもしれない。
翌日から陽子に少量の女性ホルモンが投与されはじめた。やや遅いかもしれないがふつうの少女のような骨格のなればいいのだが。
その翌日からはまず顔の整形手術が行われたのだった。
希望のアイドルタレントの陽子くらいの年齢を想定した顔に造り替えられる。
頬骨を削り、眼は二重、唇の整形等まずは顔中心に変身していく。

ホルモン投与は成人なら2週間置きだが陽子の場合、1週おきに行われた。
これは麗羅の発想からだが、はやめに乳房を大きくし、必要なら乳腺などの移植をするためだった。
また骨盤など骨の成長具合の見たかったのだった。

麗羅の館Ⅱ

第一話:友永陽子

麗羅は、ぽつぽつと二人に質問し始めていた。
彼女たちは、母親の名は、友永麻美。少女らしきその子は通称、陽子といった。
通称というのも陽子がまだ三歳のとき、麻美の不注意で事故にあい、二つの睾丸を除去していた。
それが原因で夫と不仲になり、離婚したのだった。
しかしその夫も陽子が5歳の時、交通事故に遇いその保険金が陽子のものになったが、それを運用して麻美が事業を始め、いまでは実業家として成功はした。しかし、麻美の心の中にはどうしても陽子にすまない気でたまらなかった。
陽子のほうは、幼いころのことで覚えておらず、毎日着せ替え人形のように可愛い女の子の服を着させてもらえるのをうれしく思っていた。ただ最近になって、自分が普通の女の子ではないことに気ずいたしまった。
それは麻美にとって、耐えられないことで、何とかしようと思っていたところ、“麗羅の館”のことを、さる知人に聞いたのだった。
麻美もまだ若い。18歳で結婚、19歳で陽子を出産、いま女ざかりの30である。お世辞にも美人とはいえない。だが、事業に成功したといえ、着飾ってもおらず奢ったところもなかった。ただ陽子のことを思いやる普通の母親だった。
そのあたりが、麗羅も裕美も好感が持て、熱心に聞き入っていた。そして、どうせ男としては、もう生きていけないのだから、せめて、外見だけでも女として、という麻美の考えに何とかしようという気に、ならずにはいられなかった。

聞き終えた麗羅は彼女らに、一つの質問をした。
「あなた方は、ただ外見が女性に見えるようにしたいのか、完璧な女性、出産も可能な女性をお望みですか」
「???・・どういうことですか・?」
「・・・つまり・・・」

麗羅は説明しはじめた。
ただ単にふつうの性転換手術を行いニューハーフとしての女性化なのか、出産が可能な完全な女性を望んでいるのか、後者の場合は医者の診断書のもと、裁判所に性の変更を申し出て、戸籍を変えるという手間暇がかかることになるが。しかしこれは、各方面から奇異な目で見られ、あるいはマスコミにかぎつけられるかもしれないという危険もはらんでいる。
そんな麗羅の言葉にも、麻美の目は急に輝きはじめ、
「完全な女になれるのですか・・・??・・あのう、生理や妊娠、出産も・・」
「もちろんです。でもそれには・・・」
「どんなことがあってもいいです。この子が人間として当たり前の生活ができるなら、わたしはどんなことでもします。どんなことをしてでも、この子を守ります。お願いします、どうか、この子を女性にしてください」
そんな麻美の決意に麗羅も決断するしかなかった。

その場にいた四人は、いまパソコンをのぞきこんでいる。変化させる顔を決めているのだ。今の陽子は、母親似か、お世辞にも可愛いとはいえない。だからまず顔からはじめに決めようということになった。あれやこれや、注文を出す麻美、それに反論する陽子、少々いらだちはじめた麗羅だったが、なるべく注文どおりにしようと思い、キーボードやマウスを駆使していた。あれやこらやの論争の末、きまったのは、やはり今人気のアイドルに酷似した顔だった。
あと、身長や体重の測定などを行い、身体に見合ったスタイルを決めることになったが、麗羅は11歳に見合ったスタイルを薦めたが、麻美たちはやや胸の大きい、いわば早熟さを選んだ。これにより、身長はやや小さめではあるがスタイルがよく胸の大きい少女ができることになる。
ここにいたるまでに、3時間ほどの時間を費やした。あとは、自然なスタイルに変更するだけだったが、これは一日もあればできる。とりあえず、今日はかえってもらうことにした。

それから一週間の間、麗羅は3階にあるっ研究室にこもままだった。その間、裕美は泊り込んで、食事などの世話をしていた。大抵、患者がくると、こうした作業をいつもしていた。また、作業を効率よくさせるため、麗羅は妹の裕美を呼んでいた。

一週間、部屋にこもりっきりだった麗羅がやっと部屋から出てきた。かなりやつれていたが、満足そうな顔をしていた。
こういうときは、自弁の納得のいく物ができたことを意味する。
化粧気のない顔に満面の笑みを浮かべながら、
「裕美ちゃん、クランケに連絡して・・」
「はい、お姉さま」
このときが、裕美にとっても最高の気分になる。そして、電話する声も弾んだものになる。ほどなく、末永親子が来館してきた。彼女らも心なしか浮かれたような顔をしている。そして、
「わたし達、引っ越したんですよ・・・」
「そ、そうなんですか」
裕美は、驚いたように返答したが、実のことろ、電話番号が変わったことを告げられたときに、このことは察していた。
麻美は目を輝かせながら、嬉々として話し始めていた。
ナチュラルメークにグロスを塗っただけだろうとおもわれるほどの控えめな化粧に、ベージュのワンピースに同色のブレザーというファッションからは女性実業家にはとても見えなかった。
また、陽子の服装は、やや大人びていて、有名女子高の制服を模倣したブレザーに、チェック柄のミニスカートだった。髪も長く伸ばし前髪を顔一杯に伸ばし、それを中央わけしていた。背中の真ん中まで伸びた髪の先は内側にカールさせ、眉も細く手入れしてあった。軽い化粧は顔の容姿とは別に、それはそれで大人を感じ、とても十一歳の男の子とは誰も思わないだろう。時折髪を掻き揚げる指の先は、マニュキュアで彩られていた。

麗羅の館Ⅰ

第一話:友永陽子

五月晴れの新緑の中、裕美はすらりと伸びた長い足を、惜しげもなくさらし、颯爽と歩いていた。まるで外人を思わせるその脚を、わずかばかりのミニスカートで覆い隠し、長袖のサマーセーターは、大きすぎる乳房にはちきれないほどだった。
純白のそのセーターの胸元にまで、大きく開き肌を露わにしていた。さらけ出された肌はセーターに負けないくらいの白さで周囲の男性の目を釘付けにしていた。さらさらと伸びた長い髪は腰まで届きそうだった、そしてワンレンの髪形のせいでやや大人びて見えた。実のところまだ十九歳であるが見た目は、二十台半ばに見える。そのせいか、誘ってくる異性の年齢もやや高い人が多い。
そのことには別段気にはしていないが、やはり年相応には見られたいという気持ちからか今日のいでたちは、若さにあふれていた。細く整えられた眉に象徴されるように、見事に施された化粧であるが、きょうはおとなしくナチュラルメークで、すべてにひかえめだった。ピンクのルージュにピンクのアイシャドー、チークもほどほどにアイラインもグレーでおとなしいものだった。しかし、長いまつげのせいか、やはり派手な顔立ちはすれ違う人の目を独り占めにしていた。

大きな目の下の表情は、笑顔にしろ、泣き顔にしろ、それは愛らしく見え、男心をくすぐるに違いない。また、いまみたいに、きっと結んだ口元の表情はとてつもなく美しい。
身長もまた、標準よりかなり大きく百七十センチは超えているだろう。周りから目立って見えるのもそのせいかもしれないが、人並みはずれたスタイルは、まるでモデルを見ているようである。自分に自信のない男などは、とても声などかけられない雰囲気を漂わせていた。
高い身長のせいか、あまり高いパンプスなどはかない裕美だが、今日はそのいでたちとはつりあいの取れない十センチは超えるハイヒールを履いていた。その姿は、つま先で歩いているようではあるが、姿勢が綺麗でまるで、モデルのような歩き方をしていた。
少女の雰囲気を漂わせた美女が、長く綺麗な足をまるでモデルのように歩く姿は、緑の多いこの郊外の街にも似合って、まるで絵画の中にいるようであった。
裕美はさらに、郊外へと進み、周りに民家などないところに出ていた。やがて、大きな塀に包まれた洋館の門の前に立っていた。塀の中は、大きな木が多い茂り、多いな公園のようなその洋館は四階建てだった。
とても進入などできそうもない塀は、南側と北にしか入り口はなく、その高さといえば、およそ四メートルはあろうか、さらに上端には先端の尖った鉄棒が取り付けられ、有刺鉄線が張り巡らされていた。その有刺鉄線にも、なにやらの蔦が絡まり、さらなる雰囲気をかもしていた。

この塀には数多くの監視カメラが供えてあったが、さらに多く備え付けてある南の門の前に立っている裕美は、カメラに向かって笑顔の横で右手のピースサインを見せていた。
間髪を入れずに開いた門の中に颯爽と入る裕美だったが、ここから本館の門まではさらに歩かねばならない。芝が敷き詰められた本館までの道は、車など通ったことのないことがわかる。
まがりくねったその路は、時折木々のよって薄暗くはなるが、有り余る皐月の日の日差しを浴びることができる。散歩がてらに歩く裕美の姿は、ここでも絵のなかであった。両手を後ろに回し、手にしたハンドバックをひざの後ろで揺らしながら、木々を眺めるかのように見上げながらゆっくりゆっくり歩いて、本館に向かっていた。
本館の門でも同じだった。多くの監視カメラでガードを固められた、本館にはいるには、並大抵のことではない。しかし、裕美は左手を門の隅に備え付けられたパネルにあて、さらにその右に備えてあるレンズに両目を当てると、門はおずおずと音を立てながら開き、薄暗いなかに光を差し込んだ。
玄関を入ると薄暗かったエントランスホールに、照明がはいり一気に明るくなったが人影はなかった。入って右手には、螺旋階段がありそのエントランスホールの左には窓があるが、厚いカーテンに覆われていて日などほとんど差し込まなかった。
そのホールにはほとんど何もなく、窓下に贅沢な造りのソファがおいてあるだけだった。入ってすぐ目に付くのは、誰の作かはわからない、大きな絵画が壁に飾ってあることだった。裕美は螺旋階段の下を通り、突き当たった左側のドアーを勢いよく開け、中へと入っていった。
やはり広い部屋にはいったが、この部屋はやたらあれこれ物が置いてあり、置いた本人でもわからないだろう。そしてさらにつぎの部屋へとはいっていった。

中には、やはりこの世のものとは思えないほどの美女が、一人がけのソファに座り、物思いに耽っていた。隣の部屋側に備え付けられた数台のモニターに目をやることなく、ただ漠然と窓の外を眺めているようだったが、ここの部屋の窓も厚くはないが、レースのカーテンで覆われていた。そしてこの部屋には、8畳くらいの別室が設けられていて、いまは、ドアーも閉まっていて中をうかがい知ることはできない。
その女性も長く髪を伸ばしていたが、軽めのカールをかけている。さらに化粧も裕美にくらべれば、濃かったがやはり絶世の美女には違いない。プロポーションもほうも、上品なシルクのブラウスに膝上五センチくらいのミニタイトスカートではあったが、胸の隆起や腰のくびれ、お尻の豊満さからうかがい知ることができる。全身黒ずくめのその姿は、大人の女性を感じ、裕美の若さ溢れる美しさがうすれ手見えた。
「麗羅お姉さま、こんにちは」
「・・・・ええ、・・ひさしぶりね・・」
「・・どうなさったの、お姉さま・・」
「・・・ええ、・・・」
麗羅と呼ばれた、その女性の言葉の歯切れが悪いことに、気付いた裕美は、はっとしたように、
「また、患者さん、・・・」
「ええ、・・・イメージが、・・・」
「わかないのね、・・・で、いつ診えるの?」
「・・あと、1時間もしたら・・」
「もう、お姉さまは、新しい患者さんが来ると、いつもそうなんだから・・」
「・・・だって、一大決心をしてくるんだから、こちらとしても、最大も事をしてあげようと思うと、どうしても、ね」
「・・・写真かなにか、もらってるの?」
「・・・・・」

麗羅は無言のまま、一枚の写真を裕美に手渡した。それを見ながら彼女は、
「・・う~~ん、・・いくつなの、この子・・・?」
「まだ十一歳なのよ、・・・母子家庭で・・・・本人もそうだけど、母親のほうが、熱望しているみたい・・・」
「なら、問題ないじゃない」
「当人達はね、・・問題は、こんな小さい子に、耐えられるかどうか、・・データーがないのよ・・・」
「・・・そっちのほうは、わたしには・・・」
「・・・悩んでいても仕方ないわ、・・・会ってみて、決断するしかないわね、もうすぐみえるし・・・・」
「そうね・・・」
そんな時、やさしくチャイムの音がし始めた。
二人の目線は、おのずとモニターのほうにむけられた。二つのモニターが母親らしき人物と少女を映していた今回の患者らしい。

麗羅の導きによって、二人は真ん中の部屋に通されていた。あれほど雑然としていた部屋も、ふたりの来客があるとなんとなく落ち着き、しかるべきものがそれなりにちゃんと置いてあるようだった。

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megumi2001

Author:megumi2001
仕事・家事・執筆・・・・忙しく動いています
家事は・・・新彼と同棲中・・・・なので
更新、遅れ気味で・・・

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