第四話:太田里美
3男のシンボルを失った
里志の落胆ぶりは大きかった。
股間の割れ目を手鏡越しに見た彼は自殺しようと思い、手首を切る道具を探した、だがこの部屋にはそんなものはない。
唯一あるとすれば鏡を割り、破片で切ることだったが、強化ガラスなのか、とても頑丈で大きな金槌みたいなものでないと割れないくらいの頑丈なものだった。
また手鏡にしてもそうだった。
暫らく放心状態が続き、ベッドにペタンコ座りで佇んでいた時、外から掛かっていたドアーの鍵を開ける音がした。
そして、音もなく空いたドアーから大きな男が現れたのだ、およそ百八十センチ以上はあろうかという身の丈でなかなかのイケメンだった。
里志にはホモの気など全くなく、ただ
大きな人だなぁと思うばかりだった。
また、
里志にしてみれば男のシンボルを切り取られ、女の性器を付けられたこの身体に一抹の不安を感じていた。
“力づくで犯される・・・レイプされる・・” そんな不安だった、だが男の口からはこんな言葉が聞こえてくる。
「どうだ・・体の調子は?・・・
お前もよぅ・・・日本で・・・いやあぁ・・・世界で一番怒しちゃあなんねぇ人を怒らせたんだ・・・少々の犠牲は覚悟しないとな・・・命があるだけでもめっけもんだとな・・・チンポ、取られてびっくりしただろう・・・これからもいろんな試練が待っている・・・とにかく言いなりにな・・・あっ、そうだ・・・
お前たちが犯したのは香月家の人間じゃあねぇ・・・俺の身内だ・・・いずれは俺の元に嫁いでくる女だ・・・だが、その彼女も
お前たちのおかげで肛門筋はズタズタ・・・一生おしめ暮らしさ・・・そこんとこ、肝に銘じてな・・・」
「・・・すいませんでした・・・」「まぁ、いいさ・・・れい・・さる方が元通りに直してくれた・・・だからと言って
お前たちの罪が免ぜられたわけはない・・・当初通り、
お前たちには罰が与えられる・・・どういう罰かというと・・・まあいい・・・おいおい分かる・・・今日から
お前に毎日一着の洋服を与える、時には和服かもしれない・・・反抗したら・・・それなりの制裁が加わる・・・いいな・・・言われた通りにしろ・・」
「・・・・・・」「今日はこれだ・・・ちゃんと着替えておけ・・・」
そう言うと男は無造作に綺麗に折りたたんだ洋服を置いて出ていったのだ。
綺麗に折りたたんだと言ってもすべてが新品で、袋からだしタグを外しただけだったが。
そしてベッドの下、足元にはおよそ十センチはあろうかというハイヒールを置いたのだ。
里志ははっと思い、ベッドに置かれた衣類を広げてみる。
キャミソールに長袖のブラウス、そしてヒラヒラの超ミニスカート、今穿いているショーツとお揃いのAAカップブラ・・・・
里志の頭の中は凍りついた、ペニスを切られ、女性器を付けられた上に女装しろというのか・・・
里志は手にした衣類を床に投げ捨て、どかっとベッドに胡坐を掻いて座り、口を“へ”の字に曲げ、目を吊り上げていた。
その姿はまるで子供がタダをこねている姿にしか見えなかった。
暫らく放心状態のままで座っていたが、徐々に体が冷えてくる、室温が下がっているみたいだった。
周りには身体を包むようなものはなにもない、ただ身体を小さくし、両手で身体を包み込むしかなかった。
それも限界に近づき、仕方なく
里志はベッドから降り、投げ捨てた衣類を手に取り、着始めたのだった。
抵抗感からか、ブラジャーは身に着けなかったが他のすべてを着ると急に部屋の中が温かくなってくる。
超ミニスカでむき出しの生脚姿ですら寒さを感じなかった。
しかし、タイル張りの床は素足では耐えられない、しかたなくハイヒールを履くことにした。
初めて履くハイヒールは身体のバランスが取りにくく、初めはよろめいていた、徐々にコツをつかみ、何とか歩行できるようになっていた。
トイレに入りショーツを下げ、オシッコをする、初めは何もせずまたショーツを穿いていたが女性器に残った小水がショーツを濡らす。
今日与えられたショーツはこれだけなので、気持ち悪さと不潔を感じノーパンのまま過ごしていた。
部屋の中で座ると言ったらベッドしかない部屋で
里志は今まで起きた出来事を回想していた。
挙句には
“ああ・・・あんなこと・・しなきゃあよかった・・・” という反省の思いが強くなっている。
そんな中、急に空腹感を覚えた、
そういえば起きてから何も食べていないんだ・・・と。
するとドアーが開き、筋肉が盛り上がった強面の男が入ってきた。
そして、一メートル四方のテーブルとちょっと洒落た椅子を運び入れ、テーブルの上に温かそうなスープを置いたのだった。
「ゆっくり飲めよ・・・闘病明けの
お前の胃袋は小さい・・・徐々に・・・な」
「・・・・・」「あと・・・ショーツの替えだ・・・あまり汚すなよ・・」
「・・・・・」「食べ終わった食器はあそこに置け・・・」
そう言うと壁に空いた五十センチほどの空間を指差していた。
どうやら今後はあの穴から食事を供給されるようだ。
そんな状況から察するに自分は監視カメラで見張られていることを悟った
里志はノーパンであることを思い出し、慌ててショーツを取り、慌てて穿いたのだった。
里志は言われた通りゆっくりとスープを飲み欲し、胃袋が少々温かくなったところで、周りを見渡してみた。
男は大したものを置いて行かなかったがその中に等身を映す鏡があった。
里志はその大鏡に姿を映し、今の
自分の姿を確認してみた。
“ゲゲッ・・・女の子の下半身じゃん・・・それに・・・すね毛が・・・ない!・・・脱毛されたのかぁ・・・!!”