第四話:太田里美
2深夜午後十一時の○×倉庫街は人通りもなく真っ暗だった。
里志たち三人はワンボックスカーのエンジンをかけ、エアコンを付けた密室で時を待っていた。
三人はこんな金額の大きな恐喝は初めてだったので不安のため声も出せない、沈黙の時だぅた。
約束の時間をやや過ぎると不安は更に高まった、とその時、一台の車がこちらに走ってくる。
黒塗りの高級外車だった、その車は里志たちの車を照らすように止まったかと思うと十数台の同じような車があっという間に里志たちの車を取り囲んだのだった。
前、横、後ろから光を当てられ、眩しさに目を被ったその時、取り囲んだ車の中から数十人の屈強な男たちが里志たちめがけて走り寄ってくる。
勿論、ドアーのロックはしてあったが、大きなハンマーを手にした男たちにウインドウというウインドウのガラスを割られ、ロックは外され、里志たちは車の外に引っ張り出されたのだった。
突然の出来事にされるがままの里志たちに強烈な当身が襲う、里志たちはあまりに手慣れた男たちの足元に崩れ落ちたのだった。
身体を探られ、携帯と免許書を見つけられる、そして、里志たちの身元が分かると数人の男たちは無言のうちにここを去っていく。
おそらく里志たちのパソコンを壊すためだろう、その証拠に里志の携帯電話は中を見ることなく、粉々にされていた。
気を失った里志たちは別々に車に乗せられ、監禁の場所へと移動させられたのだった
どのくらいの時間が過ぎたのだろうか、あの男たちに襲われた時、受けた腹の強烈な痛みは消えていた。
自分の身体に異状はない、ただ、やたら細くなった腕が気になっている。
だからと言って里志が特別筋肉質という訳でもなかった。
ごく普通の成人男子の体つきだったが、この腕は以上に細かった。
脚を見てみれば、そこも同じようだった、身に着けているものと言えば股間を隠すショーツ、そうなのだ、なぜか女性物のショーツを穿いている。
里志は恥かしいという反面、ぴったりとフィットしたこの下着が気に入ってしまっていた。
何がどうなったか分からないまま上半身をお越し、周りを見渡してみる。
ドアーが二つあるだけの殺風景な部屋だった。
里志はドアーを開けようとし、ベッドから出ようとしたとき、間接に激しい痛みを感じたのだった。
どのくらい寝かされていたんだろう、間接が伸びていたのだ。
痛む足でよろよろとドアーに向かう、そして、一つのドアーは外から鍵がかけてあり、びくりともしない。
もう一つのドアーは簡単に開き、中は浴室、トイレのようだ。
入ってすぐ更衣室、前にはドアーがある、開けると正面に洋式の便器があり、ナイロンのアコーディオンカーテンを隔てて隣には浴室があった。
簡素な造りだが一人で暮らすにはちょうど良い造りだ。
ドアーの向こうばかり気にしていたが、更衣室の肥立ちの壁には大きな上半身を映すくらいの鏡が備え付けてある。
その鏡に自分の姿を映し出してみると・・・
肋骨の浮き出た貧弱な身体が映し出されていた。
痩せ細った自分の身体を確認し、さらに長く伸びた頭髪を見る。
以前は短く刈り込んであったのが、今は耳を隠し襟足をも覆っている。
十センチくらいだろうか・・・物の本によると髪の毛は一か月に十二、三ミリほど伸びるそうだ。
この長さからすると半年以上はここで眠らされていたことになる。
何のために?・・・と思う間もなく、急に尿意に襲われた、里志はあわてて便器のふたを上げ、ショーツに手を差し込み、
珍棒を掴もうとした。
だが・・・・
“チンコが・・・チンコが・・・” 里志は慌て、便器のふたを降ろすと同時にその便器に座り込んだのだった。
尿道が膨らむ感じがする。
“シャー”
という便器をたたくような音、
なんなのだ?と思う前に里志は排出の快感に口を半開きにし、目は快楽に酔っていた。
なんなのだと下半身に目をやれば、以前はあったペニスがない・・・
代わりに平坦な、なにもない股間があるだけだった。
更衣室の鏡の下の棚に手鏡があるのを思い出した里志は急いでトイレを出て鏡を股間に当てたのだった。
“ない!・・・俺のチンボが・・・なんだぁ・・・かわりに女のマンコかぁ・・・” 里志の股間には一筋の割れ目が・・・