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麗羅の館Ⅳ

第一話:友永陽子

顔の整形から1週間後、包帯がとかれ、まだ晴れている顔をみて、陽子の落胆ぶりが表情に表れていた。
麗羅はその顔を見てクスリと笑い、
「陽子ちゃん、ブスでしょ・・・そんな顔じゃあ」
「・・・・・・」
「あらあら、黙ったままね、あと1週間待ちなさい、そしたら気に入るとおもうわ、その顔が」
「・・・麗羅先生、どういうことなの?」
「うふふ、まだ手術あと、間がないから腫れているだけよ、安心して」
裕美が横から口をはさむ。
整形手術を行った人が包帯を取った時の表情はみな同じだった。
そばでみていた麻美の表情も同じだった。
裕美の言ったとおり顔の腫れが引くに従い陽子の顔はあのイドルタレントそっくりになっていったのだった。

入院二週間目に入り女性器を造る手術、いわゆる性転換手術が行われる。陽子が性同一障害であるなら性別適合手術になるのだが、その判定を麗羅はしていない。なぜなら陽子はすでに睾丸を失っており、母麻美のいうように女性として生きるほうが陽子にとっては賢明な選択だったからだ。
麗羅もそれがベターな生き方だと思ったから、この幼い子の性転換を行うことにしたのだった。
むろん男の性をもどしての選択肢もあるが、男から女への性転換のほうが完璧に行えるという自信があったからに相違ない。

全身麻酔を打たれた陽子は手術台で股を広げて横たわっていた。可愛い寝顔も陽子のいまの姿は男を誘っている娼婦のようだった。
通常患者から下半身が見えないようにカーテンが上半身との境目にひかれるのだが、陽子の場合全身麻酔ということもあってなにもなかった。

陽子の性転換手術はペニス反転法で行い、またこれは最も一般的な膣形成法だった。
ペニス皮膚を裏表にして膣を形成し、腺と神経によってクリトリスを形成し、普通の性感を維持することが出来のだ。そして陰嚢皮膚を使ってより深みのある膣を形成する。
しかし陽子のペニスはまだ幼いこともあり、また幼少のとき睾丸を敵失しまったことにより十分成長していなかった。
そこで麗羅はこの膣の部分には彼女の開発した臓器培養液で作られた膣を使うことにしたのだった。
先日採取した皮膚から膣の形成をしたのだった。
その形成された膣を陽子に移植しようというのだ。

ペニスと肛門の間に穴をあけ、そこに形成膣を移植する。
もちろん陽子自身の皮膚からの形成だから拒絶反応は起こらない。
そしてこれは陽子の身体に癒着し、彼女自身のものとなる。
また機能のほうも一般女性と同じように自然洗浄、癒着もしないものだった。
したがって一般性同一障害者の性転換手術と違いダイレーターの挿入の必要もなかった。

手術は5時間ほどかかった。
その間、麗羅と裕美の二人だけの手術だったがほぼ完璧に今日は行われた。
あとは陽子の傷の状態を見ながらつぎの手術をするのだった。
二週間くらい痛みに悩まされた陽子だったが母麻美の励ましもあり、笑顔が戻ってきていた。
陽子が女の子を感じるのはおしっこをするときだった。
以前から座っての用足しだったが自分のおちんちんをつまんで下方にさげていたが、いまはそのつまむものがない。
そして尿意を感じると以前とは違い、あっという間に漏らしてしまうのだった。
以前のように辛抱できない。これが女の子かと思い始めていた。

パジャマから可愛いピンクのネグリジェにかえ、ヘアーアレンジをして楽しむ、これが陽子の入院中の遊びだった。またまだ早いという母をときふせてのメイクの練習。
自分が女の子になったという実感が欲しかった。

入院している部屋はまるでホテルの一室のような作りだった。
そこから眺める外の景色は緑にかこまれた公園のなかのようだった。
道行く人の姿などは全く見えない。
その中でたまにこの館を訪れる人を発見するとなんだか嬉しい気持ちになる。
今日も一人訪れる女性を見かけた。
綺麗な女性だった。
そういえばここに訪れる人はみな綺麗な女性ばかりだということにきずいたのだった。

麗羅からはこの部屋から出ることを禁じられていた。
母麻美から聞いたことだがここには他にも入院している人がいる、中には知られたくない人もいるので、というのが部屋から出ることを禁じられている理由だったらしい。
バス、トイレは部屋の中にあり、食事は裕美が運んできてくれ食器を下げてくれる。
部屋から出る理由がなかった。
またこの館は円形をしており、中心に手術室がある。
外側が患者の部屋だから直接手術室まで行けるのだった。
そして下からはエレベーターでしかはいれなかった。
またその手術室には階段が付いていてどこでもいけるような仕組みになっていた。

今日も母が来ていた。
毎日五時まで仕事をし、こうして陽子のところに来るのだった。
その母も最近感じが変わってきていた。
明るくなったのだ、顔の表情も服装も。
よく見ると、服装が暖色系のものが多くなったせいもあるが顔にもいくらかの化粧をしているようだった。
以前は自分の容姿に自信のないことからたいしたお化粧もしなかった母麻美だったが最近ではナチュラルメイクをしているようだった。
陽子のメイク姿に誘発されたのだろうとも思ったが、一重の目が二重になっていた。
「あっ、ママ二重になっている。整形したの?」
「うふふ。わかる?プチ整形よ」
「そうなの?でも少し綺麗になったよ」
「そう?娘が可愛いのに母親がブスだと疑われるでしょ」
「なにそれ?整形した言い訳?」
「でもないけどね、やっぱり女は綺麗なほうが得でしょ」
「そうね、あたしももっと綺麗になりたい」
「まあよくばりね」
「そうよ。可愛い女の子は欲張りなの」
「「うふふふ」」
母娘の明るい笑い声は部屋中に響いていた。

入院二カ月がたち陽子に子宮、卵巣が移植された。
この臓器も例の培養液で造られたものだった。
精巣から取った細胞を子宮、卵巣に成長させそれには陽子の遺伝子もそのまま含まれていたのだった。
もちろん拒絶反応は起こらない。
また一週於きのホルモンには染色体をXYからXXに替える成分も含まれており、陽子の身体は完璧な女の子に変わりつつあった。

入院四カ月がたち、日の当らない陽子の肌が以前にもまして白くなっていた。
その姿はまさしく深層の令嬢だった。
その白さの原因はただ日に当たらない生活だけではなかった。
時折打たれる女性ホルモン以外の注射、それは肌を脱色させるものだった。
それにより陽子の肌は雪のように白くなっていた。

今日は乳房の検査だ。
女性ホルモンの投与、染色体も替わり、陽子の乳房もやや大きくなり始めていた。
それにより乳腺が発育し始めたのだった。
一応培養液で乳腺も育てていたのだが、自分の身体で発育できればそれに越したことはない。
移植は中止された。
また子宮、卵巣、なによりも骨盤も順調に成長していてそろそろホルモン投与も中止されるだろう。
そして間もなく陽子には女の子の証、生理が始まる。
麗羅の役目は終わった。
一人の生殖不能の男の子が子供も産める女の子に替え、その子の将来に希望をもたせたのだった。

一ヶ月前から始まった、麻美と陽子の新しい生活は、心地よいものだった。ここに引っ越して、すぐ通いのお手伝いさんを雇い、麻美も美容整形で目を、二重に整形していた。これが一番気づかれるので、これからすることにしたのだった。やはり、目を二重にするだけでかなり感じは変わる。それなりの美人になったと、彼女は思っていた。しかし、陽子に言わせれば、まだまだ自分とは釣り合わないと不平を言っていた。
釣り合いを取らせようとは思わないが、少し綺麗になっただけで、男達の視線が変わることには気づいていた。だからといって、服装が派手になることはなかった。
陽子はもう少しおしゃれをしたらというが、彼女自身、服装にお金をかけることが嫌いなたちだったんだろう。一応社長という立場上、月に一度は服を新調はするが、高級品と呼べるものなどなかった。デパートの婦人服売り場で、できるだけ安いものを買い揃えるだけだった。そういう意味では、彼女の秘書のほうがブランド服に身を固め、おしゃれといえばおしゃれだった。みすぼらしいとまではいかないが、顔立ちに似合い、貧弱だった。それが、二重にしただけで同じ服でも、高級そうに見える。
やはり、美人のほうが得かなと思い始めていた。
さらに、異性からの誘いも多くなってきていた。以前もあるにはあるたが、あからさまなお金目当てだった。確かに、まだ30歳である。それなりの人物があらられれば、再婚もいいかなと考えていたところだった。しかし、これにより男への不審感が募ったようだった。所詮男なんてその程度かと。

しかし、美への追求はさらに、加速していった。次は鼻を高くし、次は頬と歯の矯正、角顎だったのを、先のとがった女性らしいように、またその間に胸と尻にシリコンを入れ、脂肪吸引でウエストを細くし、さらにエステも欠かさなくなっていた。しかし、服装のほうはというと、やはりおなじだった。どうやら、意地になっているらしい。同じ服装でどこまで、外見で、男が振り向くかを。
しかし、彼女は裕美の言ったように一度には整形しなかった。特に顔は、半年の間隔を置いて行い、見えないところは、気にすることなくどんどんおこなった。

そして、二年もたった現在、陽子に負けないくらいの美女に代わっていた。その間、スタイルを保つためにさまざまな努力もしてきた。以前は、食べたいものを食べたいときに食べていた。それが今は、カロリーを考え、運動もし、健康にも気を使うようになっていた。そのせいか、肌も綺麗になり、化粧栄えもするようになっていた。

陽子はというと、学校が変わり、まったく違った変身のせいもあり、性格も明るくなっていた。医学的にも女性と認められ、戸籍も変わっていた。医者の診断は、生後の性別判断のミスということだった。確かにそうせざるを得なかった。
いまでは、完全に女性としての性機能が働き、生理も毎月規則正しくきていて、身体は勿論、胸やヒップはどんどん大きくなっていた。ウエストも、母親の影響で気を使っていたせいか、細くくびれていた。
街をあるいていても目に付くらしく、よくタレント事務所からの誘いがあった
が、麻美は断じて、了解はしなかった。
別に有名にならなくても、お金はある。
それに変に有名になったりしたら、目ざといマスコミに過去を暴かれる可能性のある。そんな危険は避けたかった。陽子のほうも、それほど芸能界に興味は持っておらず、ほどほどにあしらってくるようだった。
彼女も中学生になり、男の子から誘いはあるかと聞いたことがあった。そのときの彼女の答えは、“あんまり”だった。成績もよかったせいもあるが、有名私立女子中学に入っていたせいかなとも思った。
しかし、陽子にいわせれば、女子校だから男子校の人からの誘いも多いとのこと、自分はもてないと嘆いていた。なんとなく、分かる気がする。あまりに綺麗過ぎるため、もう他に彼氏がいるとか、
お高く留まっているとか、近寄りがたいものがあるかもしれない。

身長の方も麗羅の言ったとおり、すでに175cmを超えていた。スポーツクラブからの誘いもあるようだが、本人は汗臭さや日焼けを嫌って、誘いには乗らないようだった。だが、運動神経は決して悪いほうではない。麻美も父親もスポーツ万能だった。
また陽子自信、小学校の運動会の徒競走では、彼女より速い子はいなかった。ただ、女の子の格好をしていたので、いつも女子で走っていたせいもある。しかし、子供の身体格、特に小学生のときは、女の子のほうがあるから、なんともいえないが。
女の子に変わって1年くらいたったころの陽子は、自分の容貌に自信を持ち始め、何かにつけ容姿の悪い子を見下すところが出てきた。そんなときは麻美は心を鬼にして、しかりつけるのだった。時には、手を上げることもある。泣きながら、しかりつける母親を見て陽子はいつも、十分反省すのだった。
そんなこともあってか、いまでは実に素直な子に育ち、麻美も自慢できる子になっていた。
ただ、仕事の関係上、家を留守にしがちで寂しい思いはさせていた。だから、休みの日などはできるだけ一緒にいてやることにしていた。
きょうも、陽子と買い物に行くことにないた。たぶん洋服をねだられるであろう。それもひとつの罪滅ぼしと諦めている。会社のほうも、この不況の中、彼女の才覚のおかげで、好調そのものだった。あとは、いかにして陽子に譲るかである。陽子が別の道を見つければそれはそれでいい。
とにかく、まずは陽子のためにという生活をしてきたが、麻美とてまだ若い、女ざかりの32歳である。浮いた話もなくはないが、すべては陽子中心の生活であった。

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megumi2001

Author:megumi2001
仕事・家事・執筆・・・・忙しく動いています
家事は・・・新彼と同棲中・・・・なので
更新、遅れ気味で・・・

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