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麗羅の館X X X


第三話:今泉陽菜
13

紗希と早紀が俺の部屋からいなくなると俺は紗希の置いて行ったメイク用品を見つめ、自分でメイクしようと試みていた、鬘や洋服、下着、そして人工乳房まで俺の手元にあった。
ここまでお膳立てが整えば女装をしない訳にはいかない、俺の“女になりたい”という気持ちを抑えていたタガが外れ、一気に女性化へと進んだのだった。

男でいることへの決別の意味を込め女性ホルモンの投与を決めた俺はあの香月に連絡を取ったのだ。
あの香月の知り合いに女性ホルモンを与えてくれる人がいないか聞くためだった。
「もしもし・・コーさん・・アタシ・・洋子・・お久しぶり・・」
「・・・洋子?・・久しぶりだなぁ・・どうした?・・なにか・・あったか・・」
俺は香月の前では洋子と呼ばれていた、この電話もその洋子を名乗っていた。
そして女言葉も忘れずに何気なく使っている自分に気付いたのだった、この香月といるときは自分が素のままでいられることに気付いたのだった。

「・・・アタシ・・女の子になりたいの・・・女の子の身体が欲しいの・・・だから・・」
「・・そうか・・ホルモンでも・・打つか?・・」
「うん・・ねぇ・・・・誰か知らない・・・ホルモン・・打ってくれるとこ・・」
「お前がその気なら・・私が女にしてあげよう・・」
「えっ・・コーさんが・・・」
「お前には言ってなかったが私はこう見えても医者だ、それも産科医のな・・」
「・・・・・・」

香月は電話では詳しいことは話せないから、一度自分の所に来るように言って電話を切ったのだった。
俺は女になると決めた以上、居てもたっても居られず、翌日学校のほうを休むことにして香月の元を訪れたのだった。

電話で言われた住所を元に来た場所は都内郊外の閑散たるところだった。
その中に高い塀に囲まれ、樹木の多い茂った庭の中にまだ新しい洋館が見えてきた。
俺は香月に「およそ病院らしくない建物で看板などもないから迷わないように・・な・・・まだ立てたばかりの洋館だ・・その近くまで行けばすぐにわかる・・・」と言われていたのだった。
まさかとは思いながらも塀に設けられた門を見つけたのだった、そこにはインターホンがあり、入り口と判断したのだ。
柄にもなく震える指でインターホンを押すと中から可愛らしい声が聞こえてきた、俺はてっきり香月がいると思っていたのだ。
「どうぞ」の声とともに重そうな扉が開き、樹木のトンネルの奥に本館の扉が見え、そして俺がその中に足を踏み入れると塀の扉は自動に閉まったのだった。

高い樹木は日の光さえ遮り、零れ日の射す舗装された道を本館い向かって歩いた。
本館の玄関にもインターホンがあり、今度は迷わずそれを押したのだった。
「大先生からうかがっています、中にお入りください」
再び若い女性の声が聞こえてくる。
俺が玄関の扉を開けようとする前に誰かが俺を飴気入れるように開けたのだった。
その扉の隙間からまるでアイドルを思わせる可愛い顔の女性が姿を現したのだった。
まだ二十歳前後だろうか、その女性の笑顔は俺の心を和ませる。

「こちらへどうぞ、先生が待っています」
その女性は俺を導き、奥へと歩を進めた、そして数ある部屋の中の一つにたどりつくとノックをし、ドアを開けたのだった。
窓から差し込む光のため診察室らしき部屋の奥に座っている人が逆光のため顔が見えにくい。
そのシルエットから女性のようだ、先生とは女医なのか?
近づくにつれ顔形が鮮明になってくる、まだ若い、清楚で綺麗な女性だった。
案内してくれた女の子とは姉妹なんだろうか、目元あたりが似ている気がする。

「どうぞこちらにお座りになって・・」
涼やかな声でソファに座るよう勧められ、それに従った俺だった。
年のころからして二十代中ばだろうか、あの女優の北○景○に似た感じだった。
iMacの置かれた机を横にして俺と向かい合う彼女だった。

「あの・・コーさ・・香月さんは?・・・・」
「・・父はわたしにあなたのことを・・頼むと・・」
「・・・父って・・あなたは香月さんの・・娘さん?」
「ええ・・あの子も・・ね」
彼女は視線を女の子のほうに向けた、そしてその視線に女の子はニコリと微笑むのだった。
あのホモの香月に子供が、しかもこんな綺麗な姉妹の父親とは、信じられないことだった。
そんなことは億尾にも出さず俺はいわれるまま、勧められた椅子に腰を下ろした。

「・・あなたは何時頃から女になりたいと思ったのかな?」
「・・・たぶん・・小さいころから・・・カラフルなスカートをひらひらさせて歩く同年代の女の子を見て自分も穿きたいと・・」
「そう・・そのスカートを穿などして、女装したことは?・・」
「・・・いいえ・・母は早くに亡くなり父に育てられましたし女兄妹はいないものですから・・・女性の衣類など手じかな所になかったものですから」
「・・・自分の性が違うと思い始めたのは?」
「多分ですけど‥物心ついたころから・・・」
「でも・・あなたはマチュア野球でそれなりの活躍をし、プロからの誘いも多かったかと・・・」
「はい・・・それは自分が女になりたいという心の内を悟られないために努力した結果であって・・・・自分の意と反することなんです・・・それに自分がこんなにも野球の才能があるとは思わなかったんです・・」
「でも・・ねぇ・・・・あなたって・・有名人だし・・・・マスコミにでも知られたら・・・あなた・・・変態扱い・・よ・・」
「・・はい・・覚悟しています・・」
「・・・・・」
「・・どうしたんですか?」
「いぇね・・あなたを完璧な女性に変えたんならどうかなって・・」
「・・・・どういうことなんですか?・・」
「あなた・・・女になるには・・その身長・・・高すぎるでしょ・・」
「はい・・・でも、生まれつきのモノなんですから・・・仕方ないと思っています・・・」
「そうなの・・諦めているのね・・レディボーイでいいと・・」
「はい・・世間に変態扱いされても・・・・わたしは・・女になりたいんです・・」
「心は女・・なのね・・・わかったわ・・そこまでの覚悟があるのね・・でもね、生体実験的な手法だけど身長を低くすることもできるわよ・・・かなり痛い思いをするけど・・」
「えっ・・そんなこと・・できるんですか?」
「あくまで・・生体実験になるわよ・・・論法、机上の計算、マウスでの実験は済んでいるんだけど・・人体でのデーターがまだないわ」
「・・・生体・・実験・・ですか・・」
「ええ・・・生体実験よ・・・成功すればあなたは完璧な女性に生まれ変わり、出産も可能な女の身体になれるのんだけど・・」
「完璧な女性・・・出産も可能・・・是非・・是非試してください・・・とにかくこの身体でもう生きていくのが嫌なんです・・・もし実験に失敗し、死んでも構わないです・・・このままでは死んだも同然なんですから・・・ニューハーフとして好奇な目で晒されてもいいと覚悟したくらいなんですから・・・」
「・・・レディボーイになっても・・・生きていけるわ・・どこかでいいことがあるかもしれないわ・・・とにかく、その意思を確かめるために・・後悔しないために一か月、よく考えて・・・覚悟が決まったらまた来て頂戴、その時は即入院だから・・それに元の職には戻れないと思うから、身辺整理もして・・それからのことはわたしが何とかするわ」
「はい・・わかりました、一か月後ですね」

将来の希望が見えてきたは俺は意気揚々と麗羅先生のもとを立ち去ったのだった。

haruna imaizumi13

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megumi2001

Author:megumi2001
仕事・家事・執筆・・・・忙しく動いています
家事は・・・新彼と同棲中・・・・なので
更新、遅れ気味で・・・

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