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麗羅の館ⅩⅦ

第二話:今宮紗希
13

ホテルの前に着いたのは、あの高級外車だった。
しかも運転手つきだった。それはその人の彼に対する応対ですぐ分かった。
津村が携帯で車を呼んでいたのだった。来た時間から察するに、近くで待たせていたらしい。
ということは今日の津村は紗希とのセックスは考えてはいなかったように思われた。
紗希を車に乗せたあと、彼はベルボーイに、何か渡した後、車に乗り込んだ。
それはプラスティックの棒についた鍵のようだった。
やはり、一応ということだったらしい。
車の中では運転手もいることだったし、彼は無言だった。何かを言いたげではあったが。
その沈黙は紗希のほうから破った。
「あの・・津村さん・・・お願いがあるのですけど・・・」
「・・・なんでしょう・・・たいていのことは聞きますよ・・」
「・・実は・・門限が過ぎていまして・・たぶん・・父が、・・・マンションのエントランスで待っていると思うのです・・・」
「・・いいですよ・・僕が、きちんと謝ります・・」
「・・そうですか・・・ありがとうございます・・・」
「いいえそんなことぐらい・・・引き止めていたのは・・・僕のほうですから・・」
「・・・でも・・・わたしのお願いは・・少し違っていまして・・・」
「???・・どう違うんですか・・・」
「・・はしたないとお思いにならないでください・・」
「・・はい、思いませんよ。そんなこと・・・」
「・・・あの・・・ずっと以前からのお付き合いということで、・・・結婚を前提にということで・・・嫌でしょうね、こんなこと・・・忘れてください・・」
切れ切れの紗希の言葉に津村は、いつ口を挟もうかと落ち着きがなかった。
「とんでもない・・こっちからお願いしようと、思っていたことろです・・じゃあ付き合ってもらえるんですね、僕と・・・」
「・・・あの、今夜だけの言い訳というわけにはいかないんですよね・・・」
「当然です、僕も男ですから、いったんお父さんの前で出した言葉に責任を持ちたいのです・・」
「でも、・・わたしで、よろしいのですか・・ほかに別の方が・・・」
「いませんよ、そんなもの・・あなたは僕のいってことを忘れたのですか・・
僕は一年間あなたを探したんですよ・・今度は一ヶ月もかけて、電話番号をみつけたんですよ・・・」
津村の言葉が熱を帯びてきた。
紗希は結婚までのことは期待していなかったが、成り行き上、後には引けなくなっていた。
彼女にしてみれば、今夜だけ父に言い訳できれば、位の軽い気持ちだった。

車はゆっくり紗希のマンションのまえを通り過ぎた。
そう運転手に頼んでおいたのだ。
津村と前のシートの間越しに父の姿を見た紗希の顔が曇った。
それを感じ取った津村は、前と後ろの座席に仕切りを下ろし、窓にはシールドを掛けた。特注らしい。
密室になった後部座席が異様な雰囲気になったとき、津村は紗希の唇を奪った。
紗希も待っていたかも様に受け入れ目を閉じていた。
すぐに彼の舌が入り込み、舌と舌が絡み合い、うっとりとする紗希がいた。
頭の芯がしびれ始め、自分の意識が遠のくのを感じた彼女は身体を津村にあずけていた。
ほんの数分の出来事だったが、紗希にはとても長く感じられ、車を降りたとき服の乱れを直すのも忘れたほどだった。
津村に言われて気づいた紗希は恥ずかしそうに、スカートの裾を払い、エントランスへと向かった。
後ろに津村を従えて。
エントランスで父は怒っているような顔をしていたが、紗希の姿を目にしたとき、やっと表情が緩むのを見てとった紗希は、ここぞとばかりに、津村を紹介した。
その彼を頭のてっぺんからつま先まで眺め、敵意をむき出しをしていた。
しかし、紗希との打ち合わせどおりに伝えた津村は、名刺を父に丁寧に渡したのであった。
そういえば、紗希は津村の素性を知らなかった。
ただ運転手つきの外車が乗れるほどの裕福な家庭環境であることぐらいしか知らなかった。
その父の格好が崩れるのをみた紗希は、どうやら津村は父には合格点をもらったようであった。

その夜は津村も父も帰っていったが、翌朝早く母から呼び出された。
たぶん父の指しがねと思ったが、昨夜の今朝というのも落ちつきがないと父を蔑む気持ちで一杯だった。
両親のところという軽い気持ちで、ほとんどノーメークで来た紗希だったが、女性になった最近はよくノーメークで出かけていた。
ただ紫外線除けだけは、しっかりして。
これは肌休めの意味と、若々しい肌は、このままでも恥ずかしくないという自信からでもあった。

両親の家に着き、ルージュもつけていない紗希の顔を見た母はあわてて、自分の部屋に彼女を連れて行き、鏡台の前に座らせた。
「・・・ちゃんとお化粧をしなさい・・お客様が見えるから・・」
「今日は肌休めだから、しない・・」
いきなり母の則されたことに、むくれていた紗希に母は、
「じゃあ、ルージュだけでも、しなさい」
いつもとは打って変わった命令口調の母に反発していた紗希は、しぶしぶながらルージュだけは塗り始めた。
また今の紗希はそれだけで十分だった。
若く白い肌にピンクのルージュがよく似合っていた。
これ以上のことは何もしなくてよかった。
それを確認して、母もそれ以上は言わなかったのだ。

塗り終わった紗希は台所に顔を出したが、沙羅となにやら忙しそうにしていた。
そして、彼女をみるなり、
「今日はあなたはいいの・・・それにしても、その服は・・・」
昨夜の服が気に入っていたので、そのまま着てきたが、母は、
「昨日のままでしょう、その服は・・」
「分かる?結構気に入ったんで、また着てきちゃった・・」
「スカートの後ろにしわが入ってるわよ・・・それに今日のお客様、あなたに用があって見えるのよ・・」
「あたしに・・誰だろう・・・」
心当たりのない紗希は怪訝そうな顔をしていた。
「いつもお洒落してくるから、安心してたのに・・・わたしのじゃあ・・だめか・・沙羅ちゃん、悪いけど、あなたの、ちょっと貸してくれない?」
「どうぞ、お使いください、・・・でも、あたしので大丈夫かしら・・」
二人目の子供が安定期に入った沙羅も、大きくなり始めたお腹を抱えながら、忙しそうに動いていた。

「・・・そうね、・・ちょっと、幼い感じもあるけど・・昨夜のと同じよりはいいでしょ・・」
一番大人っぽいものを選んだが、それでも紗希には幼い感じがしていた。
スカートのウエストのサイズが大きく、ベルト部分が腰にまで下がっていた。
なるほどこのサイズなら既製品はたくさんあると紗希は思った。
確かにスカートまでオーダーしていたのでは、金銭的に辛いものがある。
幸雄の給料内でもやり繰りを考えた沙羅は、すっかり主婦になっていた。
総じて今宮家の人々は金銭感覚に疎い。
その中にあって沙羅は貴重な存在になっていた。
両親と過ごし始めた今も、母と一緒に買い物をするが、そのとき主導権を持つのはいつも沙羅だった。
そんな沙羅だったから服のほうも、幼く地味なものだった。
しかし沙羅にとっては一番のお気に入りだったらしく、恨めしそうな顔をしていた。
唯今はマタニティーだったので、着ることはなかったが。
そういえば、母は紗希がヘヤースタイルを変えたことについて何もいわなかった。
父が教えたのだろうかと、呑気に考えていた。
母がいなくなった台所では相変わらず沙羅が忙しそうにしていたので、紗希は手伝うことにしたが、沙羅は“今日、お姉さまは主役だから”と手伝わせなかった。
『誰なんだろう、みんな主役、主役って言うけど』
そのうち玄関のほうがざわつき、来客があったようだった。
紗希は沙羅に手伝いを断られすることもなく、食事テーブルの椅子に足を投げ出し、だらしなくしていた。
そのとき母が入ってきた。その紗希を見るなり、
「これ、何です、その格好は」
と、一括したあと、
「お客様が見えましたから、紗希、あなたがお茶を運びなさい」
といいつけた。
紗希はすでにどこに何があるのか知っていたので、抹茶を取り出し、言いつけどおり四人分立てて、お盆に乗せ応接室に通ずる廊下を歩いていた。
来客が誰か知らされないまま、期待と不安の入り混じった面持ちで応接室へと向かっていた。

この家の応接室は全部で4室ありその中の和室の部屋と伝えられていた。その部屋の戸の入り口で膝たちになり、両手を添えてゆっくりと、戸を開けた。
そして、“いらっしませ”と挨拶し、お尻のほうかは身体をいれ、うつむいたまま、外に置いたお盆を持ち上げ、来客用のテーブルにすわぅたままの姿勢で、少しずつ動きゆっくりとした動作で、お茶を客の前に出した。
ここまで客の顔を見ないよううつむいたままだった。
これが母の教わった和室でも、来客にお茶を出すときの作法だった。
そしておもむろに顔を上げる。
このとき客の顔を見た紗希は、飛び上がらんほどに驚いた。
なんと客というのは、津村だった。
後はその両親らしい。
父の顔を見ると、ほほえみながらも厳しい表情で、紗希を見据え、
「これが、娘の紗希です」
と両親に紹介した。
紗希はどう答えていいのか分からず、ただ三つ指をついて挨拶するだけだった。
「これは、これは、綺麗なお嬢さんで・・紗希さん・・じつは、良樹があなたとどうしても結婚したいと言い出しまして・・」
紗希は不安そうに良樹を見た。彼は彼でにっこりうなずくだけだった。
『まだ二回しかあっていないのに、結婚なんて考えたこともないわ』という心のつぶやきは父の手前、言い出せなかった。

紗希の思いとは別に、話はすでに挙式にまで発展していた。
困った顔をさせることも出来ずにいる紗希は、ただうつむいているだけだった。
頭の中が真っ白な状態の紗希に、父は、
「実はな、紗希、この津村さんは、わたしの友人で、学生時代はよく勉強を教えてもらったものだ・・しばらく東京と長崎で音信不通になったが、こうしてまた再会することが出来た、これも何かの縁だ・・・この結婚話は、進めるぞ・・」
それは紗希にとって、父からの初めての命令だった。
『ううん・・・結婚か・・・いつかはしたいと思っていたけど、もう?・・・』
だとか、
『まだ20歳よ、あたし・・・』
『どうしようかななぁ・・・でもあの人ならいいなぁ』
『あの人の子供なら、欲しいなぁ』
とだんだん、良樹への思いが募っていった。
両親達を実家に残し、紗希は良樹とデートに出た。
その途中、部屋に寄り、服を着替えていた。
外では良樹が待っている。
彼を部屋に入れてもいいのだが、三回の出会いではまだ早いと紗希は感じていた。
そもそも結婚なんて考えてもいなかったことだった。

服をそこそこに気に入っているものに着替え、バッグは昨夜のままで持ち出していた。
化粧はしていない。嫌われて、断ってほしいという気持ちと、このまま付き合いたいという気持ちのいり混じった複雑な思いだった。
ノーメークは嫌われたい、大きく開いた襟と、太腿も見えるスリットの入ったミニスカートは、このまま抱かれ彼のものになりたいという、現れだった。
彼の運転する外車の助手席に乗り込み、大きく開いたスカートのスリットは、白く肌理細やかで長い脚、太腿を良樹に見せ付けていた。
下着は変えていず、朝つけたままの黒だった。
その色が白いブラウスを通して透けていた。
ショーツも黒だった。下着に関しては妖艶さを醸している。
左ハンドルのこの車なら手を伸ばせば、手の届く位置に太腿はある。
しかし、良樹はじっと我慢しているようだった。

箱根へのドライブは快適で、戸籍の問題で免許を取れなかった紗希には、車での移動は嬉しかった。
途中で立ち寄るサービスエリアや高速を降りた後の、喫茶店での彼との会話でだんだん打ち解けていくのが紗希自信感じていた。
良樹も雄弁に話し、紗希を飽きさせることはなかった。
色々なところに寄り、時間調節をした良樹は夕方の午後6時ごろ、予約しておいたホテルに車を寄せていた。
ベルボーイに車を片付けさせ、支配人の案内でレストランに入った。
ここでは自分達の予約だけで、貸しきるようなことは避けていた。
そのようなことは良樹自身嫌いだったし、紗希も嫌いな様子だったので、彼女の嫌うことは避けた。
食事もお酒も終わり、帰ることなく、ここに泊まるらしい。
カウンターで良樹はキィーを二個もらってきた。一つを紗希に手渡す。
しかし紗希は酒のため心が高揚しているせいか、それを押し返して、恥ずかしそうに顔を赤らめ、うつむいた。

部屋に入り、右手で顎を上げられた紗希は目をとじ、良樹の唇を待った。
昨夜のような熱いものを感じ、爪先立ちの紗希は崩れるように良樹にもたれかかったのだった。
良樹の左手は紗希のブラウス越しにブラジャーのフォックをはずし、右手はブラウスのボタンをはずしていた。
上半身のはだけた紗希の肌は良樹の目にさらされ、首元にキスをしながら、ブラジャーのカップを大きな乳房の上に押し上げ、乳首をいたぶっていた。
あっという間の出来事だった。
紗希の性感帯を巧みについてくる良樹の愛撫は紗希を官能の渦へと誘い込んでいた。
良樹に抱きかかえられベッドに横たえられた紗希の官能は高ぶり、喘ぎ声を押し殺そうとしてもその快感に知らず知らずのうちに漏れてしまっていた。
淫楽の頂点で発する紗希の喘ぎ声に良樹は、更なる愛撫を続け、唇は乳房、乳首を愛撫し、右手ではショーツを脱がせ、まだ男を知らない出来立ての恥部に触れていた。
そして気が付けばピンクのスカートはとっくに脱がされていた。

いつの間にか紗希の全裸は、官能で反り返り、また喘ぎ声も憚らないほど大きくなっていった。
漆黒の草むらは愛液で濡れ、光を放っている。
その草むらの中に隠れたクレバスに良樹の舌がはいっていく。
その舌は起用にそのクレバスの中で動き、さらに愛液をほとばせるのだった。
アヌスでのセックスしか知らない紗希にははじめての感覚だった。
大きく開かされた脚は、良樹の両肩に担がれたような格好になり、彼の目の前には紗希のクレバスがあった。
その濡れたクレバスに良樹のペニスの先端が当たり、ゆっくりはいってくる異物に紗希は痛みを感じた。
「・・いた・・いたい・・・」
紗希の顔は苦痛にゆがむ。
それでも良樹のペニスは、紗希の中に挿入されてゆく。
それが半ばまで入ったとき、良樹のピストン運動が始まった。
突き刺され抜かれそのたびに、痛みを感じている紗希だった。
下半身のほうが音を立てている、くちゃくちゃ、ぱんぱん、・・そんな音がなりやんだ。
紗希の中では熱いものを感じる。良樹の坑内射精だった。
そのときの紗希は、彼が避妊していないことなど知る由もなかった。

ほんの数十分だったが、痛みのため、紗希には何時間にも感じられた。
ずぼっと抜かれたペニスのあとからは、精液に混じった破瓜の血が見られた。
“やっぱりバージンだったんだ”の良樹の声もうつろに聞いていた。
われに返った紗希は、良樹にシャワーを薦め、浴びているうちに、血の付いたシーツを取り去り、彼の目に触れないところに隠した。
恥部から流れ出る血混じりの精液を何度もティッシュでふき取りながら、はじめて良樹が避妊していないことに気付いた。
そして良樹と入れ変わるようにシャワールームに入った紗希は、出来るだけ彼と顔を合わせないようにしていた。避妊しなかったことを、怒っているわけではない。
自分のすべてを見られ、あらぬ声を上げた自分が恥ずかしかった。
濡れた髪はそのままで、胸から下半身にはバスタオルが巻かれていた。
恥ずかしそうにうつむきながら良樹のほうに近寄って良く紗希だった。
その紗希を抱きかかえ、ふたたびキスをする良樹だった。
また良樹の愛撫が始まった。
先ほどのリプレイのようだった。
二度目の挿入は初めに比べ痛みは少なかったが、バージンを失ったすぐあとでは、まだ痛みはある。
しかし耐えられない痛みではなくなっていた。
今度は初めより激しいピストン運動だった。

そして次はもっとその次はさらにで、三日間このホテルに滞在していた。
その間いちども、食事以外はホテルの外に出ることはなかった。
何回良樹のものを受け入れたんだろうと思っていた。
紗希は返ってきて、自分の部屋のシャワーを浴びながら、少し大人になった自分の恥部を眺めていた。
セックスに明け暮れた三日間、日課のスキンケアを今まとめて行うかのようにしていた。

三日目のセックスでわずかに感じた官能を思い出し、余韻に浸っていた。
先ほどまで一緒だった良樹とは、車の中で肉体関係を持ったこともあり、うちとけ、かいがいしくする紗希を彼は、見直していた。
母に連絡しなければという気持ちも、なぜか恥ずかしく感じられた。
父にいたっては、顔も合わせられない状態だった。

処女を捧げた後、一週間は食事、セックス、2時ごろの帰宅という生活が続いた。泊まりはなかった。
その度重なるセックスに、紗希の官能は磨き上げられていった。
夏休み中だったので紗希は、日中は惰眠をむさぼり、夕方でかけるという生活だった。

その間に裁判所からの性の変更許可通知が届いていて、早速区役所に届け出た。
その区役所で受け付けてくれた女性に、“男だったという経歴を削除できませんか”問い合わせたところ、彼女は“そうですね、結婚相手には知られたくないでしょうから、削除しておきます”というあたたかい言葉だった。
別に知られても、医者の診断ミスで通用するが、削除できるならそのほうが位の気持ちだった。
母とも、連絡はしたがセックスのことまで、こまごまとは、話せなかった。
しかし母のほうも三日間一緒だったことから、とっくに察していた。
そして彼の両親と挙式の話しをしているといっていた。
紗希の卒業を待って婚約中にするか、大学中に籍を入れるかのことだけになっていた。
当人達の相談なしにそこまで話は進んでいた。
父親同士が友人なら何の問題もなかった。

紗希はまた良樹のものを受け入れている。
もう一ヶ月毎日連続してである。
最近は紗希の部屋で行うことが多く、朝を一緒に迎えることが多かった。
今朝も良樹のため朝食を用意している。
ただ最近、セックスにマンネリを覚え始めていることも事実だった。
良樹の避妊しないでの坑内射精は当たり前になっていて、沙羅のようにいつ妊娠してもおかしくない状態だった。
その沙羅もすでに一人目を出産し、二人目をお腹の中に抱え、育児に忙しい毎日を送っていた。
二学期はもう始まっていたので、日中は母が面倒を見ている。
無事女の子を産んだ沙羅は、母としても妻としても、また学生としても立派に勤めている。
そう思うと今の自分がいかに自堕落とは思わないが、自由奔放に生きていることに、恥ずかしさを覚えることがある。
良樹の実家にも、数度となくとばれ、それなりの接し方はしてきた。
彼は一人っ子だった。
そのため、結婚したらたぶん一緒に住むことになるだろう。
そのとき、自分は沙羅のように、彼の両親に甘えられるだろうかという疑問も湧いていた。
“マリッジブルーかな”などと思う今日この頃だった。
朝食の支度をしている紗希の後ろから、良樹が抱きついてくる。
後ろから服越しに乳房を揉んでくる。
スカートを捲り上げ、ショーツを割り裂き、手を進入させてくる。こんなことの毎日だった。
一人でいるときの紗希は、裸でいるが、良樹がいるときは必ず服は着る。
また、朝も必ず彼より早くおき化粧をし、素顔を見せるのはセックスのときだけだった。
いろいろな思いの中、あるとき生理の来なくなったことに気が付いた。
二回しか訪れていない生理だがカレンダーに印をしているので、次の生理日は分かっていた。
それを二週間過ぎても来なかった。
もしやという思いはだんだん膨らみ、良樹に伝えようか迷ったが医者の診断のあとでも、という気になった。
医者の診断は妊娠二ヶ月だった。
まだ二ヶ月という気もある。
妊娠は幼い頃よりの願望でもあった。
絶対無理だと思っていたことだった、元男が子供を産むなんて。
しかしまだ実感はない。沙羅のように出産するまでそれは感じないかもしれない。

帰ってきた良樹に伝えてみた。
彼は驚きまた大いに喜んだ。
そしてまず紗希の両親のところに電話を入れていた。
その喜びの顔はなんともいえない顔だった。
そして自分の両親のときはなぜか恥ずかしそうにしていた。ここのところがよく分からない。
同じように喜べばと紗希は思った。
そこからは、結婚話は急速に進んでいった。
式はお腹の大きくならない二ヵ月後、新居は、良樹の実家。
といっても広大な彼の実家の邸内に新居を立てるということだった。
突貫工事で金に糸目をつけない注文に答えるだけの建築会社などあるのかと思っていたら、良樹の父の会社の関連企業にこのとんでもない仕事を引き受ける会社があった。

そんな話をしていくうちに気付いたことだが、良樹の父は、日本一の、また世界でも有数の大企業を経営する総合商社の会長だった。
その資産は今宮家などとは比べ物にならないくらいで、毎年納税額が日本一だった。
通常この手の会社はサラリーマン社長が勤めるが、一族会社である“インターナショナル・コンツェル”の株を過半数所持しているため、良樹はすでに専務になっていた。
ゆくゆくは社長、会長だった。
良樹の勤め先など気にも留めなかった紗希は、あらためて良樹を見直したが、驚きはしなかった。
日本一だろうが世界有数であろうが良樹は良樹、自分の前ではすべてをさらけ出す普通の青年だった。
彼の父も紗希の父も今はほとんど隠居状態だったことには違いない。
暇に任せて式場選びをしていた。
また紗希の誕生日の前日に入籍した。
紗希の19歳のこだわりだった。いろいろなことのあった19歳だった。
幼い頃からの紗希の夢は今かなえられようとしていた。
“麗羅の館”のおかげで。
沙希変身7


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megumi2001

Author:megumi2001
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家事は・・・新彼と同棲中・・・・なので
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