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麗羅の館ⅩⅡ

第二話:今宮紗希
8 

二人は買い物をしている。
母が自分にしてくれたように、自分も沙羅にいろいろプレゼントしてあげようと考えていた。
親からの仕送りはたっぷりあり、毎月使いきれなかった。
それに、なにか妹ができたみたいで嬉しかった。
“お姉さま”という響きもよかった。
大きなデパートでいろいろ揃えている。
個別に店を回ればいいのだが、今日は必要なものは、一気に揃えたかったので、こんなときはデパートのほうが、都合がよい。

インナーウエアーから始まり、アウターを買っていた。
ピアスや指輪、ペンダントなどの小物もそろえ、化粧品コーナーにきている。
紗希のでもいいが、今の彼女の化粧品では、沙羅には大人向けすぎた。
10代半ばには半ばの化粧の仕方がある。
それは紗希が経験してきたことだった。
靴も買った二人は、タクシーで紗希のマンションに向かっていた。
たくさんの買い物袋を、両手で抱きかかえ、大事そうにしていた。
数々の買い物の支払いのとき、沙羅は自分で払おうとしたが、紗希は兄からお金を預かっていると嘘をつき、彼女が支払いを済ませていた。

汗だくで帰った二人は、シャワーを浴びている。
最初嫌がった沙羅だったが、紗希の強い勧めに観念したかのように、裸になった。
その裸体はまさに、少女だった。
ノズルを沙羅に向けながら、じっくり観察していた紗希は、とりあえず肋骨抜きと豊胸からはじめようと思った。
とにかく、この幼児体系から変えようと。
幸雄に電話して、整形部門に知り合いはいないか聞いて見た。
いるのはいるが、腕が悪くて任せられないとの事だった。
初めから暗礁に乗り上げてしまった。
仕方ないので化粧法からはじめていた。より自然に見せる方法を、三日間掛けて習得させ、おしゃれ用まで進んだときだった。
幸雄から、連絡が入り、医者が見つかったとのことだった。

教えられた住所のところに沙羅と出かけた紗希は、郊外の真新しい洋館に唖然とした。
ここが本当に病院なのかと、どう見てもホテル、またはラブホテルにしか見えなかった。
しかし今現在の状況ではここに頼るしかなかった。
幸雄は自分はここに顔は出せない、といってこなかった。
“まったく、兄貴のやつ”と舌うちはしたが、東大の助教授ともなれば、いろいろ係わってはいけないこともあるだろうとも思った。
二人は意を決して中に入ることにした。
中は閑散としていて、患者などいなかった。
あたりを見回すと受付に一人のナースらしき若い女性を見つけた。
背の高い綺麗な女性でまるでモデルのようだった。
人当たりもよく、絶えず笑顔で、診療室まで案内するから付いて来るよういった。

紗希は付き添いらしく、おとなしい、膝上5cmくらいのライトブルーのタイトミニスカートに、ノースリーブのブラウスだった。
いずれも無地だった。
沙羅のほうは、デニムを切ってホットパンツにしたものと、今の学校の夏服のシャツだった。
半袖のそのシャツの下は、ブラジャーもせず、中性的な格好でいた。
髪も後ろでポニーテールの位置よりかなり下で束ねていた。
化粧もしていないこの格好に沙羅は不満そうな表情をしていたが、今日はこれでいいと紗希は思っていた。

若いナースに連れられて二人は、病院の奥へと連れていかれた。
そんなに大きな病院ではないが、そこそこの病室があり、たまに、病室に入院患者を見る程度だった。
10室ほどの病室群を抜けると、いきどまりだった。
ナースは振り返り、辺りを見回し誰もいないことを確かめると、壁の端を押した。
すると、壁は反転し、入り口ができた。
まるで忍者屋敷だった。
そこを入りくだり階段を下りると、また壁になった。
今度は電卓のようなものがついていて、それに数字をいれ、隣のタッチパネルに左手の人差し指を当てた。
指紋文証であいた壁を通りぬけ、さらにくだると、明かりのついている部屋があった。
ここが手術室らしい。
どうやらこの病院の地下は非合法らしい。

そこには、二十代半ばの医師らしき女性が待っていた。
「いらっしゃい・・・・あら、どちらがご希望なの?」
それもそうだ、プロの目から見れば紗希が男であることが一目瞭然だった。
自分では完成度の高い女装と思っていたがいとも簡単に見破ら得た紗希は、
「・・・こちらの・・・あの・・妹のほうなんですけど・・・あの・・わたしって・・男と・・丸分かりですか?・・・」
「うふふ・・いいえ・・あなたは完璧よ・・・声も女性的なソプラノだし・・・ただね・・女性としては完璧すぎるのよ・・まだ二十歳前でしょ・・その歳でそこまで完成された女性なんてあまりいないから・・ちょっとカマをかけてみたのよ・・」
「・・・完成された・・・・」
紗希は愕然とした、自分では何とか女性らしくとあらゆる面で心を砕いてきたが女性らしすぎて、それが違和感を感じさせるだなんて思ってもみなかった。

そんな挨拶のあと、
「○○様の紹介で、手術をさせっていただくわ。整形についての希望があればなんなりと・・」
紗希は出鼻をくじかれ、自分の本性を見抜いたこの女医にすべてを任せようと思った。
女医に希望と言われ言いよどんでいた沙羅に代わり、豊胸と肋骨の除去を申し出た。すると医者は、「分ったわ、・・でも、今後他も変える予定があるんだったら、今ぜんぶ済ませたらどう?料金のほうは気にしなくっていいから」と、全身整形を薦めてきた。それならと紗希は、「じゃあ、鼻を高くして、目をもう少し大きくして、頬にふくらみを持たせ、お腹の脂肪吸引と、精巣、睾丸の摘出、・・・」
紗希は意地になっていた。もう他にないかと考えていた。メモを取っていた医者は、「睾丸摘出までするんだったら、いっそ性別適合手術までしたら?・・」と水を向けてきた。紗希はあっけにとられ、沙羅を見た。
すると、彼女はうなずいていた。
たぶん沙羅には、最初紗希が言ってたことなど何のことなのか理解はしていなかっただろうが、性別適合手術の言葉に反応してしまったのだろう。

医者に一切お任せの手術が行われている。
先は不安で一杯だった。
自分でもしていない性転換手術はどうなんだろうかとか、いきなり、全身を代えてしまって大丈夫だろうとか、不安はつきなかった。
そんなもやもやした不安の中の8時間だった。
最後に医者は紗希にも、性転換手術を薦めたが、あれほど女性の身体になりたいという気持ちもどこへやら、性転換手術にしり込みをしたのだった。
全身、包帯巻きの沙羅がベッドに横たわっている。まだ、どんな風に変身したのは分からなかった。
すべては、包帯の取れる三週間後だった。
目も大きくしたため、顔は口と鼻の穴だけを残し、包帯が巻いてあり、胸から下半身まで同様だった。
太腿まで巻いてあるのは、ここの皮膚を他に移植したに他ならない。
されるがままだった沙羅はまだ麻酔が効いていて眠っている。
包帯で表情は分からないが、沙羅はこれで満足だったんだろうか。

紗希は毎日沙羅の入院している病院に通っている。
今は、包帯で巻かれているので着替えの必要はない。
沙羅は包帯の取れるのを心待ちにしているのだ。
しかし紗希はもし失敗していたときのことを考えると、いてもたってもいられなかった。
また幸雄のも見舞いに行くよう、催促はしているが“今の地位の自分はいけない”と言い張っていた。
確かに東大病院脳外科医の彼の立場では、闇で非合法な手術をしているこの病院にはこれない。
助教授ではあるが、結構な地位まで上り詰めた幸雄だった。
今度の教授会で教授に推薦されるらしい。
しかし紗希には、そんな兄の出世なんかどうでもいいことだった。

最近こうして、沙羅よく話している。
今も、兄とのセックスを紗希は、根掘りはぼり聞いている。
週何回とか、体位は何とか沙羅以外だれもいない病室で。
こんな下ネタに沙羅は、顔を赤らめているだろうが、包帯で顔色は分からない。
術後二週間は経っていたが、初めの3・4日は痛みで夜も寝られないほどだったらしい。
いまも、突如痛みは来るらしいが、術後に比べれば、結構耐えられる、と笑っていた。
今日は包帯の取れる日だった。
なにやら紗希も心がうきうきしている。ここ三週間毎日沙羅の元に通い、まる姉妹のようになっていた二人だった。包帯が取れれば即退院ということだったので下着の着替えは持ってきた。
サイズは聞いてあったので、問題はないが、洋服はどうしようと思った。
そこで苦肉の策として、帰りに退院祝いに途中で買ってあげようと考えた。
靴もそのとき、服装にあったものでと。

顔のほうから、包帯が解かれていく。
目は閉じたままで、という医者の注意を守り沙羅は塞いだ瞼をぴくぴくさせている。
鼻が見え、口が現れ、首に巻かれた包帯まで取り外され、いったんそこで、顔部分の確認だった。
綺麗に変わっていた。
まずは目だった。内側をやや切り、二重を深くしたおかげで、大きくなった目は、以前やや離れ気味だったのが、解消されていた。
鼻も低くはなかったが、ここの先生の開発した特殊なものを入れたおかげで、形の良いものに変わり、それよってバランスの崩れた頬にふくらみを持たせ、唇も厚くしてあった。
そしてそんなに目立ってはいなかったが、喉仏が取れてすっきりした首、ここでは完璧だった。
また、耳にはピアス穴もあけてあった。

上半身の包帯が解かれていく。
豊胸手術前の話では80cmといわれていたが、どうみても85cmはある乳房だった。
乳首も大きくされていて、乳輪も作られていた。
女性ホルモンの効果によって肌の肌理も細やかになっていた。。
しかし急造的に作られたにしろ、見事なできばえだった。
医者の話によれば、肋骨群の中央部分を切り取り、鯨のひげで締め上げているということだった。
それにより、アンダーバストが小さくなるという説明だった。
アンダーバストが小さくなれば、当然カップサイズが大きくなる。
Dカップといわれていたが、今の感じでは、Fカップくらいになっていた。
ウエストも65cmだったのが肋骨を一対取ことにより60cmを切るくらいまで細く仕上がっていた。
これにも理由があった。
なんと胃袋を取ってしまったのだ。
ただ、食事は3時間おきにという医者の言葉だった。
しかし沙羅はその言葉を守りそうにない。
細くなったウエストにうっとりしているのだ。
臀部にもシリコンが入れられ、女性とまがうほどの大きさになっていた。
紗希も入れてはあるがここまで見事ではない。
恥部を紗希は見たことがないので分からないが、医者の満足そうな表情を見ればわかる。
たぶん成功なのだろう。
しかし、円筒状のものを取り出し“これを、用を足すときと、セックスのとき以外は、挿入しておくように”と注意していた。
忘れたり、わざと入れないという行為をしたなら、塞がってしまうとも。

兎にも角にも、とてつもない美女になった沙羅だった。
ここを出るときは、着たときの服と考えていた紗希だったが、まず持ってきたブラジャーがあわない。
ショーツは何とか入るのだが。
仕方ないので、紗希自信のいつも持っている予備のブラジャーを着けようと思うなだが、カップが合わない。
トップはいいのだが、アンダーが合わない、紗希はDカップだった。
仕方がないので、アンダーはゆるいがきつくはないので、それを身につけていくことにした。
だが上に着るブラウスの胸部分がはちきれそうだった。
もともとローティーン用だったため、バストサイズが小さくできていてボタンが留められない。
仕方ないので、下にTシャツを着ることにし、その上にブラウスを着ることにした。
ブラウスの裾をウエストから出し、胸部分はボタンをはずし、ウエスト部分だけボタンをはめることにした。
そんな服装で多少、見られるようになった沙羅のファッションだった。

歩くたびに揺れる乳房の感触に、沙羅は嬉しそうだった。
しかし、紗希は帰り際に女医に言われたことを思い出していた。
『これは依頼者の希望です。』ということだった。
では、幸雄の、ということなのか。なぜか複雑な心境だった。

そのあとの、下着や洋服選びが大変だった。
まず、ショーツはよかった。可愛いデザインのものもたくさんある。
しかしFカップのブラジャーがない。こんな大きなサイズはなかなかなかった。
仕方ないので、トップ合わせのアンダー成り行きで3枚ほど買ったが、それではこの身体にした意味がないと思い、いろいろなデザインで、10枚ほどオーダーし、それにあわせて、ショーツもオーダーした。
こうなれば紗希も意地である。
あとで、幸雄に金を取り立てようと思い、洋服も、20着ほどオーダーした。
というのも、バストがFカップでウエスト60cmなんて既成服はなかった。
さらにヒップ88cmなんて・・兄貴は何を考えているんだろうと、思ったとき腹が立ってきた。
いつも沙羅を裸でいさせるつもりかと。
身体の張り付くようなものから、少女っぽいものまで、いろいろバリエーションに飛んでオーダーしたのだった。

小物類やバッグ、靴などなど、とにかくすぐ必要なもの以外は送ってもらうことにしてきた。
ここまでの、支払いはゴールドカードで済ませてきたが、ちょっとした買い物のため、現金をATMで下ろしたが、残高の多いことに気付いた。
かなり買い物をしたにもかかわらず、多すぎる残高だった。
不審に思い、わざわざ銀行のカウンターに行き、調べてもらったところ、幸雄から500万円の振込みがあったのだった。“兄貴も結構考えてるじゃん”とおもった。

部屋に戻りスレンダーグラマーになった沙羅は、大鏡で何度も何度も見入っていた。
そして、色々なポーズをとり、悦に入っている。
紗希は、パソコンに向かい、なにやら出てくるウインドウを見ている。出てきたら、なにかを入力しまた何か入力しと、さらには理解できないことをしている。
ここのところ紗希はパソコンの技術が向上し、コンピューターソフトグラマーも顔負けな位になっていた。

麗羅の館ⅩⅠ

第二話:今宮紗希

受験も終わり、東大にも合格した紗希だったが、東大には入学せず、滑り止めで受けた私立の有名校に入った。別に手続きが間に合わなかったわけではない。東大ではなんとなくつまらないと常々思っていた。
周囲はもったいないと口々に言ったが、彼女自身のことだったので、それ以上は問題なかった。
ただ報告を父にするとき、困った。もう何年も会っていなかったのだ。
兄達も同様だったが、あまりの変わり果てた今の姿をどうしようかと、母に相談した。
すると母は、
「心配ないわ・・・ああみえて、お父さん、ちょくちょくあなたを見に行ってたわ」
母の言葉に耳を疑った。いつどこで、という気持ちで一杯だった。

「わたしね・・・おとうさんに、お願いしたの・・・」
その後、母、瑞江は衝撃的な告白を紗希にした。
どうしても女の子が欲しいがため、医者からは危険といわれた四度目の出産を、周りがとめるのも聞かず紗希を産んだのだった。
産む前に夫、浩三と約束したことがあった。
それは、自分は命を掛けるのだから、この子だけは自分の自由に育てさせて欲しいと。
たとえ男の子が生まれても、女の子として育てるとまで。
それがあの幼いころの女装だった。
しかし、この子にはこの子の人生がある。とりあえず、見守ろうと思い直し、紗希の思いどおりにさせたのだった。
髪を切ることを禁じたせいなのか中学生になり自分から女装を始めたことを確認すると、影ながら協力することにした。
また協力していることを知らせるために、整理ダンスを触ったのだった。クリーニングもそうだった。
女性ホルモン投与のときは、知識もなく同意したがその後調べるうちに、いろいろなことが分かり、後悔はしたが、一年もたった後では遅かった。
さらに睾丸摘出のときなどは迷いに迷い、浩三の相談したのだった。
反対するとおもった浩三が、瑞江に任せるといったときには、驚いたがその後、彼も何かと協力的だった。
たとえば、中学、高校と紗希の女装めいた姿を、黙認するよう学校に働きかけたり、衣類などを揃える費用などを工面してくれた。
工面と言うほど金に困っているわけではないが、紗希の女装に関しての金は、浩三の小遣いから出ていた。
整形等の金もしかりだった。
紗希のためのマンションも、浩三が探してきたものだった。
名義もちゃんと紗希のものとし、陰の協力者は浩三その人だった。
なぜこんなに協力してくれるかは分からなかった。
しかし瑞江にしてみれば、金銭的に協力してくれるなら、もっと前面に出ればとも思った。
そのことを彼に聞いたことがあったが、両親が協力したと世間に知られれば、笑いものだと言い放った。
しかし今思い起こせば、彼も女の子が欲しかったのかもしれない。
三人目の子が産まれた時、彼は“また男か”と言ったことを思い出していた。
だからといって、ニューハーフまでとは考えてはいなかったようではある。
しかし、どんな姿でも大学だけはと考え直していた。
そういった意味では、注目度から言えば東大生ではないほうがいいとも思っていた。
美しく変わった息子が、女性に近い姿で自分の前に座っている。複雑な心境だった。
陰ながら協力はしてきたものの、これでよかったのかと。

三人の息子達は勿論、お手伝いも今日はひまを出してある。今この大邸宅には親娘?三人だけだった。
紗希のほうも今日はいつもとはイメージが違う、おとなしいワンピースを着ている。見立ては母だった。
上半身部分はぴったりとした、スカート部分はフレアーの絹製のものだった。
白無地だが胸元まで大きく開いた襟が印象的だった。
そしていつもストッキングなどつけないが、今日だけは、パンティストッキングを穿いていた。
下着も見せるわけではないが、服に合わせて白の高級品をつけ、父と勝負するかのようだった。

最近、紗希は美しく見せる姿勢というものを、日々研究している。
歩く時とか、座っているとき、また電車などを待っているときの立ち姿。
そうしたすべてに美しく見せようとのことだった。研究のせいもあってか自分ではかなり上達したように思われる。今日はその成果を見せるときだった。
ソファに座るときは、背もたれはあるが浅く腰を下ろし、背筋を伸ばし、膝を揃えて脚は斜めにして、足首は極力曲げずに指先だけを床につけるような感じで揃える。
また両手は膝の上で重ねておく。あごは引き、必要に応じては伏せ目にする。などなどだった。
こうした客として招かれるときも、今日は完全な客ではないが、出されたコーヒー、紅茶の類のカップを出されたとき、手にしているハンカチで、飲んだあとカップに残ったルージュのあとをそっと拭く。
飲むたびにこれを行い決して、相手にルージュの後を見せない。こんな小さなことまで研究の対象だった。
父との話もあっけなく終わり、今日は泊まっていけと言う父の薦めにも、着替えを持っていていないからと断った。しかし今後このような機会がありかどうか分からない。父の勧めにしたがっておけばという後悔もあった。
しかし、自分と父の飲んだコーヒーカップを台所に持って行き、綺麗に洗いしばらくの間、両親と談笑した。
これは親娘としてである。堅苦しいことなど考えず、崩した姿ではいたが、そのなかでの美しさは自然に身についていた。

娘となったわが子の後姿を見送りながら、一息ついた後、
「なあ、瑞江、あの子綺麗にはなったが、これでよかったのかねぇ・・」
「・・・そうですね、・・でもあの子が決めたことだから・・・」
「・・・親としては間違っているかもしれないぞ・・・」
「・・そうですね、・・・でも、もう後には戻れませんわ・・」
「そうだな・・」
そんな両親の心配を知ってか知らずか、紗希は父の公認をももらったと内心喜んだ。

東京での住まいは、30階建ての高層高級マンションの20階の一室を、買い与えてくれた。
このセキュリティーも完璧なマンションだったら、おかしなことにはならないだろうという安易な考えだった。
また、アルバイトもしなくていいように、仕送りもかなり高額な金を送っていた。
それに月に一度は母が上京し、様子伺いに来ていた。
この部屋には、男の衣類は一つもなかった。またインテリアも女性の好むものだった。すべて紗希の意向だった。こだわったのが等身大の大鏡だった。あれこれ注文はあった。最後に決めたのは、額縁に入ったものを選び、脱衣所に設置し、曇らないような工夫もした。
また鏡台にもこだわった。いろいろ家具店を回り、100年位前のアンティークなものを、購入した。
母は古いものはすぐ壊れると反対したが、紗希は100年も壊れなかったんだらと、とりあわなかった。
そんな紗希の新生活に費やした金額は普通のサラリーマン家庭にはおよびのつかないほどだった。
今後これ以上の金がかかるかもしれない。
しかし実家は、江戸時代より続いた大豪商で、長崎の出島貿易で巨万の富を手にしていた。
巨額の資金を元での、会社経営は今でも続き、どの関連会社も、黒字で母瑞江の実家も資産家だった。
一人娘の瑞江は5年前に彼女の父から資産を受け継ぎ、そのあとを継いだが今は次男に任せ、自分は顧問にとどまっていた。
長男は浩三の下で帝王学を勉強中である。
学者肌の三男は、母校、東京大学に残り、大学院を経た後、教鞭をとるかたわら、研究に没頭している。
紗希が東大に入らなかったのも、兄がいるせいだったかもしれない。
この一家は代々東大出身者で曽祖父などは、帝国大時代の人だった。
また母瑞江もなぜか東大出身で、紗希だけが違っていたがとりあえず、合格してということは、それだけの頭脳は持ち備えているということだった。

また、浩三はこの東京に数多くのビルを持ち、これを紗希に譲ろうと考えていた。
これなら、たいした人も使わず、経営できると思ってのことだった。
財産贈与的には、兄達の数十分の一くらいにしかならないが、後々の苦労を考えれば、この方が得だった。
すぐ上の兄が今、34歳だから紗希とは一回り以上はなれている。一番上の兄は38歳だった。
母、14歳、中学二年のときの子だった。
というのも、父と母は中学生のとき婚約し、そのときから、一緒に暮らしていた。父は5歳上の高校二年生だった。母が高校に入り16歳の誕生日を迎えたときに入籍したが、すでに2歳の長男がいた。
その当時の母は、相当な美人だったらしい。その面影は今も残っている。
父の上京とともに東京の高校を移り、入籍と同時に次男を出産、大学一年で三男と、青春時代は子育てと勉学で、いそがしい日々を送っていた。
しかし両方とも裕福な実家だったおかげで、子育ての手伝いをしてくれる人を雇い入れることができた。

母瑞江が三男を出産した時には、すでに父、浩三は会社勤めをしており、瑞江はこのときが人生で一番忙しかったと今でもこぼす。
母として子育て、しかも三人、妻として夫の世話、学生として勉学、こんな生活を送っている同年代の女性はいなかった。しかし、お手伝いの女性がいたからこそのことだった。
頻繁に変わるお手伝いの女性の中に、まだ若い子を雇い入れたことがあった。
美人とはいえないがどことなく、愛嬌のある子だった、年は瑞江と同じの20歳だった。
一緒に朝食の支度をしていたときその子の様子がおかしいのに気付いた瑞江は、起きてきた浩三の仕草を観察した。
その子と目をあわせようとしない、いつもと態度の違う浩三に女の直感が働いた。
講義が午後からだったので、浩三を送り出したあと、その子に暇を出した。
その子はきょとんという顔をしていたが、普通はは出さない退職金を渡し、やめてもらうことを告げた。
『こっちの都合でいきなりごめんなさいね』
と低調に詫び、住み込みだった彼女を、その日のうちに家から追い出した。

彼女の住む先は、実家のビルを管理している会社に頼み、空いている部屋に入れてもらった。
管理会社としては、大得意のお嬢さんの言いつけには素直に従うしかなかった。
しかも契約はあとでという理不尽な条件で。
さらに家においてある電話番号をすべて変更した。
まだ携帯電話などない時代だったので、これだけで、二人は連絡をとることはできなかった。
夫の会社など教えてなかったことも幸いした。
後は新しいお手伝いさんを頼むことだけだった。
今度は、年配の人を頼んだ。
その若い子を雇うにしても、自分自身話し相手になれば、位に考えてのことだった。
自分自身の選択ミスだった。
帰宅した浩三は、若いこの代わりに、老婆風の女性がいることに驚いたが、安心した様な顔をしていた。
妻、瑞江への不貞行為に心を悩ましているところだった。
しかし、なじりもせず、後始末だけをきちんとする妻を怖いとも思った。
お嬢様育ちの瑞江のプライドがそのような行動を取らせたのかもしれない。
その後の浩三は、浮気一つしない、理想の夫だった。

大学生として、親元を離れて、といっても紗希はすでに中学生のころから離れているが、東京という大都会で、新生活し始めていた。
5月のゴールデンウイーク、6,7月の梅雨も終わり、夏真っ盛りだった。
学校のほうもすでに休みにお入り、暇をもてあましている紗希だった。
もう変えるところなどなくなった全身だが、また少々の整形をして、その傷跡が癒えるのを待っている状態だった。冷気を効かせているエアコンも東京の蒸し暑さには、効いている様子もない。
裸でいればとも思うのだが、素肌にエアコンの冷気は、身体に悪い。
それに、身体中から流れ出る汗を拭くのも億劫なのだ。仕方なしに、Tシャツは着ているのだが、ノーブラの乳房の間に汗がたまる。
化粧しようものなら、汗ですぐ流れ落ちる。UVカットの落ちにくいファンデーションをつけてはいるのだが、やはりあまり効き目はない。
そうだ、とふと思う。世間が節電、節電と騒ぐからいけない、自分は女王様なのだ。
わたしのすることはすべて許されるのだ、と開き直りエアコンの温度調整を最大にする。
急に部屋中に冷気がたち込め、ひんやりとする。これだ、これだと妙に感心し悦に浸る。
そのとき、据え置きの電話が鳴った。誰だろうと思い、受話器を取った。
最近では練習の甲斐もあってほとんど女と変わらないような声で返事をしてみた。
「た・・紗希か::俺だ・・幸雄だ・・・」
すぐ上の兄だった。最近では、兄達も紗希が女装していることを知り、歓迎はしないものの女性名の紗希と呼んでくれている。
父の援助でニューハーフになった弟を、認めないわけにはいかなかった。
しかしすぐには、紗希という名が出てこないときがある。今がそれだった。
「実は、後一時間くらいしたら、そっちにいきたいんだけど、いいかな?」
「別にいいけど・・・・どうしたの、急に・・・」
「・・・紹介したい人がいるんだ・・・」
「ふ~~ん、・・・兄さんもそういう人ができたんだ・・・」
「・・・・・・ああ、・・・実は・・・いいや、行った時に話す・・・じゃあ後で・・・・」
そういって、電話を切った兄、幸雄だった。
紗希は怪訝な顔をして、受話器を見ていたが、一時間ということを思い出し、あわてて受話器を置き、バスルームに飛びこんだ。
この暑さなら大丈夫と思い、冷水で浴び始めてが、あまりに冷たすぎ、あわてて温水に切り替え、汗をすっかり流した。

エアコンを最大にしたおかげで、風呂上りにはいつもは吹き出てくる汗も、抑えられている。
時間がないのでスキンケアを飛ばそうと思ったが、彼女のホリシーがゆるさなかった。
結局いつもと同じ、時間のかかる顔作りを始めていた。
汗をかきたくないので、服は最後に着ることにした。
ショーツ一枚で、化粧をする姿はあまりにも、無作法であった。
それでも簡単メークではあったが紗希の顔は、一段と美しさを増していた。
ハーフカップのブラのストラップをはずし、寄せてあげての方法で背中のフォックをはめ、春、父の前で着たものと同じデザインの、夏用を選んだ。
隠す部分が乳首のすぐ上までしかないそのワンピースは、そこから腋の下を下がった背中に回り、ウエストラインまで下がっていてブラジャーの背中部分を丸見えにしていた。
大きく開いた背中にブラジャーを見せるわけにはいかない。
紗希はすぐさま、ブラジャーを取り外した。
紗希の乳首は生地で擦れて、感じやすくなっていたが、この方が自然だった。
背中まるだしのこのワンピースのストラップを背中でクロスさせた。
また、前のほうは、乳首をわずかに隠した後、中央に行くにしたがって下がり、乳房さえもわずかに隠す程度だった。
コルセット内蔵のようなこのワンピースはどうやら、パーティードレスだった。
きつく締められたこのドレスは、ウエストを50cmくらいにしていた。
スカート部分も春物とは違い、フレアーではなく、マイクロタイトミニだった。
これじゃあまずいと思い、服を変えようとクローゼットに向かおうとしたとき、玄関のチャイムが鳴った。
紗希はしまったと思った。
兄には、エントランスのほうの暗証番号を教えてあったのだ。
仕方なく玄関ドアーをあけると、兄の姿があった。
幸雄は、紗希の姿を見るなり、
「なんだ、おまえ、その格好は・・」
「だって・・・おかあさまの見立てで、春買ったんだけど、着たらこんなんだから・・・着替えるから、ちょっとまって・・・」
「いいよ、そのままで・・」
「・・・でも・・・」
「いいから、いいから・・・実は紗希に頼みたいことがあるんだ・・・」
珍しいことがあるもんだと、紗希は怪訝な顔をした。
父浩三は紗希のことを三人の兄達に話していた。
そのとき、上二人の兄はおおむね了解してくれたが、この兄だけは、世間に恥ずかしいだの、自分の立場がどうのこうのとうるさく反対していた。
その兄が自分に、頼みごととは。
ただ、ここ最近よく紗希の部屋を訪れている。

「・・・おい、はいれよ・・・」
幸雄の言葉に、ひとりの少女が顔を出した。その顔を見て驚いた。早紀だった。
「お前も、知ってるだろう、こいつ・・」
「う・・・うん」
「・・今、俺達付き合っているんだ・・・」
「えっ・・・・・・」
「で、頼みとは、こいつを女にしてくれ・・・」

いつの間にか、幸雄と早紀は、応接室のソファに腰を下ろしていた。
指折り数えて会ったのは、9ヶ月前だった。
それ以来だった。髪も伸び、肩にかかるほどだった。
前髪も切らずに、真ん中分けをしているせいか、時折、左手で掻き揚げている。
「・・・いつから・・・付き合ってるの・・」
「去年のクリスマス・・・」
「・・・・早紀ちゃん、先生は?」
「・・・・・・分かれた・・・」
ぽつぽつと話し始めた早紀だった。

昨年、紗希の出現、また、紗希から送られた、女装用品により、鮫島は女装に目覚め、早紀と会っているより自分を変えることに夢中になっていった。

あの日の翌日、彼は細くなった眉のまま学校にいったのだった。
また、瞬間接着剤で二重にしたが、その方法で、毎日二重にし女装にふけるようになっていた。
勿論、眉などは抜いてしまったので、生えてくるのを待つしかないが、二重により雰囲気が変わった鮫島の姿に、校長、教頭などは眉をひそめた。

鬼監督として威厳のあった野球部の選手にも、やさしくなったその顔では、威厳も保てなくなっていった。
また、女性ホルモンを投与し始めたせいで、身体の線も丸くなっていった。
もちろん、ホルモン投与がそんなに早く効くはずもないのだが、そういった噂が立つと、周りの目はそんな風に感じるのだ。
早紀に会っても、彼を抱くこともなくなった。
確かに、強力な女性ホルモンを頻繁に一ヶ月もつづければ、性欲はなくなる。
そんな周りの目や噂のせいで、学校を二学期一杯で辞めてしまった。

ほっておかれ始めた早紀は、相談のため紗希のところに来たのだが、別のマンションで暮らしている彼女とは会えなかった。
そんな時たまたま帰省していた、幸雄が応対に出ていたのだ。
紗希にもらった鬘をつけ女装していた早紀を、幸雄は男とは気づかず、そのとき一目惚れしてしまったのだ。
紗希のいないことをつげ、連絡先として住所や電話番号を聞いていた幸雄は、帰省中たびたび早紀に連絡していた。
そのときは、早紀がまだ中学生とは知らずにいた。
たしかに女装しているときは、化粧をしているので大人びて見えるのは確かだった。

大学の長い休みは、早紀にアタックするにはちょうどよかった。
そして、早紀に更なる悲劇が起こったのだ。
両親が交通事故で亡くなったのだ。
孤児院育ちの両親に身寄りはなく、一人っ子だった早紀は途方にくれた。
そのとき相談に乗ってくれたのが幸雄だった。
そして、その葬儀のとき初めて、早紀が男と気付いたのだった。
しかし、女性と付き合った経験のない幸雄の片思いは、さらに加速し、女装すれば美人に変わる早紀を異性として愛していた。
また14歳と知っても、一向にひるまなかった。
すでに年は変わっていたが、三学期一杯は田舎の中学で過ごさせ、新学期を期に自分の住む東京の有名私立中学に、転校させた。
学校側も、身元引受人が東大の助教授だったら、拒む理由もない。
二つ返事で転校を認めたのだった。
また早紀の成績が大変優秀だったことも転校許可の要因の一つだった。
さらに、早紀が女性ホルモンの投与を希望したため、医学部の友人にそのことを頼んだのだった。
他には内緒で都合してくる友人への謝礼も、一週間毎になっている。
幸雄は友人の注意に従いながら、彼自身が早紀に投与していた。

そんな投与もすでに、半年になっていた。
そのせいか早紀の乳房はいまではふっくらとし、思春期の少女くらいになっていた。
まだどうしてもブラジャーが必要というわけではないが、学校に通うとき以外は、紗希にもらった人工乳房をとともに、ブラジャーを付けていた。
いまは軽いナチュラルメークのせいで、歳相応に見える。
着ているものも、デニム地のマイクロミニにTシャツだった。
そのTシャツも汗で身体に張り付き、ブラジャーの姿を浮き立たせていた。こんな暑い日に人工乳房は、熱いだろう。

一応のことを聞き終えた紗希は、
「・・・で、あたしにどうしろと・・・・・」
「・・・実は・・な・・来年、女子高に入れようとおもっているんだ・・・」
紗希の目は点になった。
「なに、訳わかんないこと、いってんの・・」
「だめか?・・」
「・・・う~~ん」
しばらく考え込んでいた紗希は、こうきりだした。
「・・・なんか面白そうな話しだなぁ・・・」
幸雄はむっとして、
「本気なんだぜ、俺達・・・・茶化してないで真剣に考えろ・・・」
「ごめん、そんな気はないんだけど・・・で、どんな方法をとるつもり?」
「まだ考えてない・・・」
「・・・・あ~~あ、兄貴はいつもそうなんだもん・・」
「そう言うなって・・・入れる学校のあてはあるんだが・・」
「女子高の?」
「もちろん・・・早紀も、もう女として生きていきたいっていってるもんだから・・・・」
「早紀ちゃん、本当にいいのね?」
「・・・はい、わたし、紗希お姉さまみたいに生きたいの・・」
「でも、子供、産めないよ・・」
「分かっています、幸雄さんには申し訳ないけど・・」
「俺のことなんかいいんだ・・・」
「あらあら、ごちそうさま、・・・だけど、どうしようかな・・・」

考えに行き詰った紗希は、とりあえず、一部始終を聞いてみようと思った。
幸雄の友人に、こんな悪友めいた人が多いが、親が女子高を運営をしているものがいる。
その友人の伝手で入れようと思っている。しかし、試験はないが面接はあり、それをまずクリアすることだった。
さらに、女装させることはまだ伝えてなし、これからも白状するつもりはない。
つまり、早紀は女の子として入学し女性として高校生活を送りたいと思っている。かなり虫のいい話だった。
とにかく、早紀と同居することにした。今、早紀は幸雄と暮らしている。
とりあえず、必要なものはないので、このまま残ることにした。
幸雄は紗希に頼むと言い残しかえっていった。不安そうに見送る早紀を紗希は、
「二人ともサキじゃあこんがらない?」
「そうですね、・・・じゃあ、あたし・・・沙羅にします」
「いいの、それで・・・」
「いいんです、・・・どうせ、鮫島先生が、紗希お姉さまのことを忘れられずに、つけた名前ですから・・・幸雄さんともこの名前にしようと話し合っていたところですから・・」
「・・・・そういえば、鮫島先生、どうしてるかな・・・学校辞めちゃって・・・」
「・・・ゲイバーで働いてます・・・」
「・・・あの身体じゃあ、そんなとこかな・・・」
「うふふ・・・随分ひどい言い方ですね・・・でも、あたしも同感・・・」
「でしょ、でしょ・・・あはは・・・」

麗羅の館Ⅹ

第二話:今宮紗希

翌日からの孝雄は、平静を装いながら、それでいて心の中は晴れやかな気分だった。
鮫島も学校では教師と生徒の関係を保ちながら、自宅に帰れば夕食を作ってくれる恋人がいる。
そして二人の約束事は、ウイークデイのお泊りはなし。
セックスは土日だけ。また、学校以外でも、孝雄は、女装。
セックスの場所は鮫島の部屋。孝雄の部屋だと、いつ母にこられるか分からないから、ということだった。
またお互いの呼び方は、洋一さんに紗希だった。
こんな秘めた付き合いの中でも、紗希の成績は一向に下がらなかった。
以前にくらべ、かなり忙しくなった紗希だったが、陰でかなり努力はしているのだろう。

こんな教師と生徒の関係は、紗希が高校三年になるまで続いた。
そして、紗希が新学期になったとき、鮫島は他校へ異動になってしまったのだ。
今の部屋からではとても通えきれず引っ越したのだった。しかし、それでもしばらくは、遠距離恋愛を続けていたが、そのうちに音信不通になり、三年の秋には、その関係も消滅していた。

しかし鮫島によって開発された紗希の身体は、男なしではいられないようになっていた。
男を求めて深夜の待ちをさ迷い歩いたこともあったが、なかなか鮫島のような男はいなかった。
容姿にこだわっているわけではない。ただ、ゲイの男は、なかなかいないということだった。
いや、結構いるかもしれないが、本人自身が気づいていないか、隠しているのかもしれない。
3人の男と性交渉はしたが、付き合うまでには至らなかった。
半年前からはじめたパソコンで、インターネットを通じて探しては見てはいるが、なかなか見つからない。
受験のほうも、そろそろ追い込みを掛けなければならない時期に来ていた。
最後にもう一度、鮫島に会っておこうかと思っていた。

紗希の住んでいる町から、電車を乗り継いで二時間ほどのところに鮫島の住んでいる町がある。
今日来ることは、鮫島には伝えてなかった。別に驚かそうだとか、そういう意味ではない。
ただ、あまり、昔付き合っていたということを強調したくはないという気持ちがあっただけだった。時も過ぎている。鮫島に恋人がいたって不思議はない。

冬の近づいている今、風も冷たくなって来ている。薄手のセーターにジャケット、チェックのミニスカート姿の紗希は、可憐な少女を装っていた。素肌の足元はローヒールのおとなしい靴を選んできた。
勿論タックも忘れていない。紗希はもともと、冬でもストッキングははかない。寒いがそのほうが、ミニスカートを穿いているという、実感が湧くという理由からだった。
身体にぴったりのセーターは、大きな胸を強調し、歩くときに大きく揺れる。
そうした他人へのアピールも近頃では、頻繁に行うにしていた。
高校二年の終わりに整形をして以来、整形は行っていないが女性ホルモンは、今でも続けている。
もっとも、これは、一生付きあわなければならないものだった。
その効果か、乳房はいまだに少しずつ大きくなっている。しかし、スタイルはまったく変わっておらず、また肌の手入れも毎日欠かさなかった。
これだけの努力をしていても、やっと同年代の女性と同じで、子供を産めない不完全な女性でしかない。
また、セックスにしてもアナルでしかできない。
このことも、恋人を探す上では困難なことだった。
そんな紗希は、別にセックスが目的ではないが、大学に合格したら性転換手術をしようと思っていた。
これは取り立て急ぐことではない。卒業までにできれば位の気持ちでいた。
完全に乳房の成長が止まってから、行おうと。

地図を見ながら鮫島のマンションを探していた。
遠距離恋愛中は、二人の住んでいるところの中間で会っていたので、初めて彼のマンションを訪れる。
わずかばかりのの商店街を抜けると、閑散とした風景が目に飛び込んできた。
首をかしげながら、探していた。マンションと呼べるような建物などなかった。
すれちがう人もまばらで、車も時折、走っている程度だった。
30分も探しただろうか、すると、2階建てのアパート風の建物に行き着いた。住所といい、そこに書かれている建物名といい、どうやらここらしい。
『マンション?・・・アパートじゃん・・・ったく・・・』
そんなことを呟きながら、紗希は鮫島の部屋の前に立っていた。
多少ためらいながら、チャイムを押す。なかなか返答がない。もう一度押す。返答がない。
『留守かなぁ・・・・』
と、そのとき、ドアーがあいた。そして、うっすらと伸びた髭ずらの鮫島が顔を出した。起きたばかりらしい。
が、紗希の顔を見ると急に驚いた顔になり、
「紗希・・??・」
「へへへ・・・きちゃった・・・」
「・・・どうしたんだ・・・・」
「ちょっとね・・・ねえ、はいっていい?」
「・・あっ・・ちょっと・・・・」
「・・・・彼女、いるの?・・・・いいわよ、いても・・・・歩き疲れちゃったから、中に入れて・・・」
と言うなり、鮫島を押しのけて、部屋の中に入っていった。
カーテンを引かれた南向きの部屋は、布団が敷かれ掛け布団が大きく膨れていた。
『誰かいる、・・・・彼女かな・・・・ま、いいか・・』
きょろきょろ見渡している紗希の後から鮫島がついて来た。なにやらおどおどしている。
紗希は、くすっと笑い、
「せんせ・・そこにいるの、彼女でしょ・・おーい、そこの彼女・・・出てきていいよぉー・・・」
紗希は、布団に向かって叫んでいた。
もこもこと布団が動き、ぬっと顔を出た子を見て、紗希は驚いた。以前の自分の酷似していたのだ。
整形する前の。そのわずかな時間の間に、頭の中を張り巡らし、考えあぐねた答えが、
「せんせ・・・・前のわたしがよかったの?・・整形する前の・・・」
「・・・そういうわけじゃあ・・・・」
「・・・・いいわよ、・・・久しぶりに会って・・・いじめるわけじゃあないから・・」
笑みを絶やさない紗希だったが、心の中は複雑だった。

顔を出した子の上半身が紗希の目に入った。胸がない。男の子だ。それでも、髪の毛はショートカットの女の子のようだった。
「せんせ・・シャワー、ある?」
「・・・・ああ、・・そこに・・・」
「そ・・・・・ねえ、きみ、・・・・・シャワー、浴びない?・・」
言葉を発することなく、少年はうなずいた。そして、背を向け、パンツを穿き始めた。
両腕で胸を隠すように、クロスさせ風呂場のほうに歩き始めた。それについていった紗希だった。
バスルームに入った少年のあとから、下着姿の紗希がつづく。温度調節をした少年は、お湯になるのを待っていた。そこへ下着をとった全裸の紗希が彼の前に姿を現した。
紗希の股間の小さなシンボルに驚いたようだったが、紗希はかまわず彼の手からノズルを譲り受け、温度を確かめ、彼にシャワーを掛け始めた。
「・・・ねぇ・・・きみ・・・なまえは・・」
「・・・・隆夫・・・」
紗希は、目を丸くした。しかし、何食わぬ顔をして、
「先生には、なんて呼ばれてるの?・・」
「・・・・早紀・・・」
これにも驚いた。
「・・・歳は?・・・」
矢継ぎ早ではないがゆっくりとした、紗希の質問に、早紀のほうも小さな声で答えていた。
「・・・14歳・・・」
「じゃあ・・・まだ中学なんだぁ・・・」
「・・・はい・・・」
「早紀って名前は?・・・・」
「よ・・あっ、・・・先生が・・・・」
「洋一さんでいいわよ・・・」
「・・・・・お姉さん・・・先生の・・・・」
「・・・ん、・・・昔のお友達・・・・」
「・・・男の人?・・・・」
「昔は・・・・」
逆質問にあっている。
「お姉さん・・・・綺麗ですね・・・」
「・・・君も綺麗になりたい?・・」
「・・・・うん、・・・いつも、先生に言われる・・・・」
「なんて・・・・」
「早紀は早紀でも紗希違いだって・・・・」
「・・・・そう・・ひどいね・・・」
「・・・どういう意味かなって・・・・・」
「・・・意味、分かった?・・・」
「・・・お姉さん、サキっていうんでしょ・・・」
「・・・ちがうよ・・・・」
「・・・・サキお姉さん、・・ぼ・・・わたし、綺麗になりたい・・・」
「・・・そう・・じゃあ・・やってみようか・・・・」
「・・・うん・・・」

紗希はバスルームを見渡していた。そこに洋一の髭剃りを見つけた。そこで紗希は、早紀の足にボディソープを塗り、あまり生えていなかったがすね毛を剃り始めた。
次に液毛を処理し、あまり濃くない髭もとりあえず、剃っておいた。
ビキニラインを丁寧も処理しショーツを穿かせてみた。
多少は剃り残した毛があったので、また処理する。
そんなことの繰り返しで、30分ほど風呂場にいた。
まだ幼さを感じさせる早紀に着替えに持ってきた紗希の下着をつけさせた。だが、ブラジャーは大きすぎた。
そこで紗希は、駅前まで買い物をしてくる間に、洋一の伸びた髭を抜いておくよう早紀に言いつけ、部屋を出て行った。

一時間ほどして、戻った紗希は大量の買い物をしてきた。
洋一の髭はまだすべて抜き終えていなかった。
そのまま早紀に抜かせておいて、紗希はビニールシートを敷きその上に洋一を横たえさせた。
仰向けに寝た洋一の顔に、覆いかぶさるようにして早紀は彼の髭を抜いていた。
紗希は投げ出された洋一の足のほうにいて、彼のすね毛を脱毛し始めた。
はさみで一定の長さに切りそろえたあと、そこに脱毛剤を塗っていた。
数分後に濡れたタオルでふき取る。するとそこだけ綺麗な無毛状態になっていた。
そんなことの繰り返しで洋一の足は、二時間もすると女性のように綺麗になっていた。
そのころには髭のほうも抜き終わり、いつもは青い髭剃り跡が目立つ洋一の顔はそのあとさえない綺麗なものになっていた。
両腕をあげさせ、液毛を早紀に抜かせている間、紗希は眉の毛を整えていた。
あらかじめ、ラインを書き、外れたころの毛を抜いている。
また二時間ほどかかり、できあがった洋一の顔を、彼に鏡でるよう催促した。そして、洋一は、
「げっ、・・・これじゃあ、学校に行けないよ・・・」
などといっていたが、次に何をされるのか分かっているらしく微笑んでいた。

洋一と早紀に下着をつけさせた紗希は、二人を見ていた。
洋一はともかく、早紀のほうはかなり少女っぽくになっている。
紗希の見立てもよく、下着のサイズも二人にはぴったりだった。
そして緩んだブラジャーの隙間に、柔らかいシリコンの人口乳房を入れさせた。
それは本物と間違えるほどの柔らかさを持ち、付けたに人もその重さを感じられるものだった。
すでに興奮している二人は、ペニスを勃起させていた。
それは小さなショーツからはみ出しているほどだった。
そして、パンストを穿かせ、さらにキャミソールをつけさせる。
スカートは洋一が、膝上10cmのタイト、早紀は、赤のレザーのマイクロミニ。
アウターのほうは肩幅の広い洋一は首周りが広いセーター、早紀は可愛い花柄のはいったピンク地のブラウスだった。

髭もすっかり抜き終え、無駄毛の処理が終わった洋一の顔に化粧をしている。早紀には真似してするよういってあった。
クレンジングから始まったこの化粧も、早一時間が過ぎようとしていた。
紗希は時折早紀をチェックしながら修正し、また洋一にメイクをするの繰り返しで、こんな時間になったのだった。
アイラインをいれ、ルージュを塗る。
あとは鬘だった。
洋一はソバージュのかかったロング、早紀は紗希と同じ背中の真ん中までのロングだった。
早紀はもともと可愛い顔立ちだったので、想像はついていたが、洋一のほうも途中、瞼を強力な瞬間接着剤で二重にしたので、それなりの美女に出来上がっていた。
ただ、早紀は160cmと小柄だが洋一の180cmはおおきすぎる。でも今日だけだからと紗希もあきらめていた。

身支度を終えた三人は町の繁華街に向かっていた。もう夕方で薄暗くなり始めていた。
洋一はハーフロングのコート、早紀はデニム地のジャケットだった。
靴も紗希の見立てだったが早紀のほうはやや高いパンプスを、洋一には悪戯心が湧いて10cmのハイヒールだった。大きい上に更なるハイヒールで190cmをこえる大女になっていた。
こつこつとパンプスの音がまばらになっている。ときどき、ガーという音も聞こえる。
洋一の足の運びが悪いときに鳴らす音だった。
しかし、こんな大きなサイズの靴などあったものだと、洋一は思った。
また洋服にしても同じだった。通常ここまで大きいものはないと思う。
というのも、洋一はつねづね、自分も女装はしてみたいと思っていたが、買うときの恥ずかしさとサイズがない、の両方のため半ば、あきらめていた。
しかし、こうして今女装してみると、その心地よさは格別で病み付きになりそうだった。
だから今外出していることが嬉しくてたまらなかった。

今、洋一の身に着けているものが揃えられているのには訳があった。実は、紗希が持ってきたものだった。
紗希も付き合っているころから、一度は洋一に女装をさせようと思っていた。
そのころから集めたもので、彼女の部屋にはまだまだたくさん置いてあった。
早紀の場合は、突然だったが、このくらいのサイズのものを、揃えるのにそんなの苦労はしない。
また鬘は、紗希が何かあったときのため、常に持ち歩いているもので、こんな風に使うとは思っていなかった。

駅を中心とした繁華街は、土曜日と言うこともあって人が出ていた。
その中を背の大きな女性が歩いていては、やたら目に付く。
食事もまだってこともあったし、どこかにはいることにした。
そばにファミリーレストランがあったが、洋一が人の多いところはいやだと言い出したので、しかたなく、裏通りの高そうなレストランに入ることにした。確かに照明は薄暗く、女装者にはちょうどいい。
紗希が自分のオーダーを選び、メニューを早紀に渡した。しかし早紀はメニューを開こうともしない。
どうしたのかと聞くと、
『ルージュが落ちるから・・・』
という理由だった。後で直し方を教えるからと悟し、注文するように言った。
「博美は・・・」
洋一はこう呼んでくれといった。“博美”とは初恋の女性だったらしい。
「わたしは・・・・☓○△・・・」
女言葉がまだ様になっていないが、なんとか女性らしくしようとしているところがいじらしい。
早紀のほうは、他人の目が気になるらしくうつむいたままだった。紗希にもそんなころがあった。
紗希と博美はたわいもない会話をしながら、食事を取っていたが、ぽつぽつと早紀のほうも話に入ってくるようになっていた。紗希は博美に服のことを話すと、やっぱりという顔をし、さらに残りも欲しいと言い出した。
あっけにとられた紗希だったがサイズ違いの服が自分のところに合っても仕方ないと思い、送ることを約束した。

その日紗希は泊まることにした。そうなると早紀のほうも、泊まると言い出した。
紗希も別にセックスが目的ではないので、いやな顔もしなかった。
また、博美と二人きりでは間がもてないことも分かっていた。
博美の部屋に戻り、紗希は化粧を落とし、日課であるスキンケアをしていた。
二人は元の戻るのがもったいないらしく、このままでいると言い出していた。
当たり前に女装をしている紗希にも、その気持ちは十分理解できた。

シャワーも浴び、博美に借りた大きなTシャツにノーブラで、二人の前に座った紗希は、やはり早紀と博美の出会いを聞かずに入られなかった。自分の場合は痴漢行為からだったことを告げてから。
そのとき早紀が目を丸くした。そして、
「・・・わたしも・・・一ヶ月くらい、毎日・・・」
「一ヶ月?・・・毎日?・・・成長してないのね・・・」
「・・・・・」
「黙っちゃった・・・」
紗希も早紀もくすくす笑い出していた。さらに紗希は、
「じゃあ、わたしをしょっちゅう、触ってたの、博美、あなたなの?」
紗希の詰問に博美は、こっくり頷いた。
「あきれた・・・」
「あの・・・紗希さんは、いつごろから・・・・」
「こんな格好?・・」

「中学一年のときから」
それから紗希は、二人に問われるまま、答え、また女装に必要なことや注意すべき点などを話した。
化粧法や服の選び方、肌の手入れ、女性ホルモンの注意点などなど、知っていることは何でも教えた。
そんなことを話し込んでいるうちに、夜が明けてしまった。
明け方から昼ごろまで、睡眠を取った三人は、お腹のすいたことに気付き、ご飯を食べに外に出た。
紗希はこのまま帰るつもりだった。帰る前ということもって、化粧を始めたが、早紀の視線が妙に熱い。
そこで、「早紀ちゃんもする?」と聞くと、やはり、彼女も女装で外出したいらしい。
今度は、見本ではないが、紗希がきちんと、顔を作り上げた。
博美のほうは昼間ということもあって、辞退したが、やはり、羨望の眼差しは、早紀同様だった。

寝る前の洗い、干しておいた下着はまだ生乾きだったが、かまわず身につけ、服装のほうは、紗希と同じサイズだったので交換することにした。ただ、紗希と早紀のスカートのウエストのサイズが合わず、早紀は苦労したが、紗希が持っていた、コルセットでウエストを絞り込み、何とか穿きこなした。
なぜ紗希がコルセットなんか持っているのかというと、外食するときに、おいしさのあまり、食べ過ぎないようこれを着け、食事制限をするのだった。
だから昨夜も、オーダーしたあと、料理が出てくるまえにトイレに行き内緒で身に着けて来たのだった。
紗希のウエストは、58cm、早紀は65cm、7cmの違いだが、コルセットは55cmのサイズだったので、今の早紀にはかなり苦しいはずだった。そのくらいのサイズにしても、60cmになってしまう。
紗希には平気でも、早紀には、耐え難いものにはずだが、平静を装っていた。
しかし食事はさすがに、かなり食べ残した。今の状態で食べられるわけがなかった。

会計係の洋一に申し訳なさそうな顔をして、あやまっていた。洋一は笑いながら、
「いいんだよ・・・でもそれを着けて、お腹一杯食べられるようになるといいね」
などと、優しい言葉を掛けていた。また早紀のほうも、昨夜の話の中で、紗希がウエストを細くするため、肋骨を取った話をしたとき、自分もいつかしようと思った。また、整形も、試してみようと。
しかし、紗希は彼女に、肌の手入れさえしっかりすれば、あなたには必要ないといってくれた。
確かに早紀に顔は女性っぽく、幼いころから、“おかま”と馬鹿にされていた。
別にそれが原因で女装に憧れた訳ではないが、洋一に誘われ、興味本位に性交渉をもったが、抱かれれば抱かれるほど、女性になりたいと思うようになっていった。

奇妙な形で紗希と知り合ったが、この際、綺麗になるためなんでも吸収しようと思っていた。
化粧品やそのための女装用品を買うときも、店員に聞けばいいのだが、紗希のほうが詳しかった。
洋服のときもそうだった。こんな田舎町では、たいしたものを置いた店はなかったが、その中でもちゃんと紗希は自分にあったものを選んでくれた。
紗希を駅で見送ったあと、たくさんの買い物袋を抱えた早紀は、洋一に、
「ごめんなさい、先生・・・随分、お金、つかったでしょ・・」
「いいや・・・あいつ、買い物の天才だな・・これだけで○○○だ・・・」
それでも早紀にとっては大金だった。しかし自分のため、こんな散在をしてくれた洋一に感謝していた。

麗羅の館Ⅸ

第二話:今宮紗希

電車で2駅目に学校はある。いつも登校時間は満員だ。
できるだけ出入り口の近くに立つのだが、よく痴漢にあう。
今は冬服だからまだいいが、夏の暑い日など、汗がシャツをぬらし、背中のブラジャーのラインを浮き彫りにするので女性と思い、2日に一度は遭遇する。
大きな声を上げたいのだが、今の自分にその勇気はないとあきらめ触られるままでいた。

今日もまた触り始められていた。
全くの女子高生姿では仕方がない、この痴漢にあうかもしれない危険を承知で孝雄は女子高生の制服を着てきたのだった。
そこには股間の物さえ消してしまえば男だと見破られない自信はあったからだ。
事実、可憐な女子高生が痴漢の魔の手に遭遇し、顔を歪めている。
その歪んだ顔も愛らしく、半開きにした唇が淫乱性を見せていた。

どちらの手か分からないが、甲のほうから手の平に変わったのがはっきりと分かる。
真後ろの男らしい、胸を孝雄の背中に押し当て、左の耳元に息を吹きかけ、孝雄のお尻を揉み解し始めた。
どうやら右手らしい。電車の揺れに乗じて、身体を孝雄の左横に移動させた、男の左手が今度は、スカートの裾にかかっていた。孝雄はあわてたが、時は遅かった。
あっという間にスカートの中に左手が進入してきた。
両手の自由が満員電車のため利かなかった孝雄は、なすすべを失った。
左手はショーツと肌の隙間にはいり、先ほど作ったばかりの疑似オマンコをショーツ越しに摩り始めたのだった。
右手はまだお尻を揉み解している。
オマンコを十分摩った後左手は、ショーツの中に侵入してきた。
そして右手もスカートを捲り上げお尻を触っている、とその時ショーツは両手でずり下ろされたのだった。
他の乗客には見えない下半身は男によりむき出しにされている。

男の右手は孝雄のアニスの入り口を摩っている、その行為に孝雄の官能は高ぶっていた。
孝雄の心の中にこうした行為をされたいという願望があったのだろうか、それが今日、普段とは違う女子高生姿で登校させたのだろうか。

そして疑似オマンコを摩っていた左手は下半身から離れ、ブラウスの下側のボタンをはずし、またはずし、中に進入させるとブラのカップを上に上げたのだった。
カップの支えを失った大きな乳房は、ブラウスの下でぷるんと音を立てたようだった。
孝雄のやや正面に位置を変えた男は、二駅分の間、孝雄の乳房とアヌスをいたぶり続けた。
恥ずかしくてうつむいていた孝雄は、顔を赤らめていたが、次第にその行為により快感を覚え始めていた。
が、その時アヌスに激痛が奔る、男の右手の中指が孝雄のアヌスに挿入されたのだ。
中指の挿入、そして出し入れしたり回転させたり、孝雄のアヌスを揉み解していた。
孝雄は先ほどの快感から激痛に変わり、心の中で苦悩の叫び声を上げていた。

電車が学校のある駅に近づいたとき、苦悩の中、顔を上げた孝雄は、男の顔を見て、驚き声を上げそうになった。
痴漢男は担任の鮫島洋一だった。体育が担当の鮫島は、大きな身体をしていた。
180cmはあろう。ひげの剃り跡も青々しく、精悍な顔つきだった。また女生徒の人気も高く、多くの生徒から慕われていた。
そんな鮫島がこんな卑劣なことをするとは信じられなかった。孝雄は電車が駅に着くなり、掛けるようにその場を去り、女子トイレに駆け込んだ。
女装のときはいつも女子トイレに入るのだ、今の格好ではそれも当然なことだった。
幸い誰もいなかったが、個室に入り、ブレザーを脱ぎ、ブラウスを大きく開けた。鮫島に触られた乳房は、汗をかき、また、強く揉み解されたため赤くなっていた。
ほとんど泣き顔で孝雄は、ブラジャーを元に戻し乳房を被う。
そしてブラウスのボタンをはめ、スカートの下にいれようとしたとき、自分のアヌスに違和感を覚えたのだった。
なにかが、何かがはいっている、恐る恐るアヌスに手を当ててみる。
それはコンドームだった、そしてそれを引っ張り出すとそれには孝雄の排出物で汚れていた。
孝雄は先ほどの激痛より、この恥ずかしい汚れに心を悩ませたのだった。

今日、学校はどうしようと考えていた孝雄だったが、ここで休んだんでは負けになると思い、重い足取りながら、学校へと向かった。
駅から学校まで5分ほどだったが今日はやたらと長く感じていた。
相変わらず、乳房は歩くたびに揺れ動く。
今はこの胸が忌まわしかった、また自分に隙があったのかとも考えていた。
たぶん隙はあったと思う。
女性になることばかり考えていて、男の欲情など考えたこともなかった。
大きくしたこの乳房も、ただ女性のシンボルともいうべき乳房を持つことで、より女性に近づけると考えてのことだった。しかし男にとっては、性の対照だということを、今日知った孝雄だった。

孝雄が初めて女子高生の服装で登校してきたというのに周囲の、クラスメートの反応はなかった。
常日頃から女性化が目立つ孝雄なので周囲も当然のことのように受け止めているようだった。
孝雄にしてみればこれで周囲から容認されたんだと胸をなで下ろした。
そしてホームルームの時間が来た。鮫島とどんな顔をして合わせれば、いいのだろう。
また鮫島はどんな顔をするのだろう。そんな考えが次から次へと思い浮かんできた。
何食わぬ顔で参考書を見ている振りはしているが、頭の中はそんなことで一杯だった。
しかし、あの激痛の前の快感はなんだったんだろう、そんな思いもあった。
そっとブレザーのボタンを一つはずし、右手を中にいれ、さらにブラウスのボタンもはずし、また中へと右手を入れる。ブラジャーと乳房の隙間に手をいれ、左乳首に触れてみる。
親指と人差し指で、つまむようにいたぶってみる。
するとだんだん快感を覚え、あっと声を上げそうになった。
女の身体の敏感さを改めて痛感した孝雄だった。
何食わぬ顔で、教室に入ってきた鮫島だった。孝雄との距離は、机にして4個分、ほぼ3mの距離だった。
孝雄の睨みつけるような視線に、鮫島は眼を合わせようとはしなかった。
そして淡々と通達事項を話し、帰っていった。

その日の孝雄は、授業をほとんど聞いていなかった。
呆然としながら右手で左乳首をいたぶっていた。
何度も声を上げそうになった。お昼休みには、体育館の倉庫に入り、ひとり、乳房を揉み、快楽に溺れていた。ここには誰も入ってくる気配はなかった。どこも体育の時間はないことを孝雄は知っていた。
だからというわけではないが声も上げていた。
いや発してしまうのだ。知らず知らずのうちに、すべてを脱ぎ去りショーツだけの姿になっていた孝雄だった。

快楽によって火照った身体を、覚ますかのようにゆっくりゆっくり歩きながら、教室まで戻った孝雄だったが、午後の授業も頭に入らなかった。今日はだめだと思い、最後の時間は、早退しようと教員室に向かった。
鮫島と顔を合わせるのはいやだったがしかたない、担任だから。
教員室の視線を一気に浴びている気がしたが構わず、鮫島に早退届を渡し、早くその場を去ろうとしたとき、鮫島が後ろから孝雄を呼び止めた。
「あっ、今宮、・・・これを湯川に渡しておいてくれ・・・」
湯川とは、委員長だった。
「・・・はい・・・」
しぶしぶだが、それくらいのことならとおもい、振り向いてまた鮫島のほうへと向かった。
鮫島のほうも、立ち上がりこちらのほうへと向かってきた。
そして、小さな紙を孝雄に手渡した。字の書いてあるほうを上にしたままで。
そのときは気付かなかった孝雄だが、途中で何気なくふとその紙に眼をやると、そこには、“今日放課後、家庭訪問に行く・・・・今宮へ”と書いてあった。
孝雄は愕然とした。この上まだ、という気持ちだった。
鮫島は自分が独り暮らしということを知っているのだろうか。本当に来たらどうしようか。母に話してきてもらおうか。どんな話なんだろうか。また今朝みたいなことになったらどうしようか。
迎えるときの服装はどうしようか。明日は土曜日で休みだし、マニュキュアもしたいな。
お化粧はしててもいいんだろうか。お酒の用意をしてたらまずいかな。
そんなことを電車に中で考えていた。
孝雄自信、気づいていないかもしれないが、かなり待ち望んでいるようだった。

部屋に帰った孝雄は、まずベッドメーキングから始めた。
次に風呂に入り、入念に化粧をして、マニュキュアもしていた。
そして今朝のことが頭をよぎり浣腸も入念に行っていた。
服装は股下といっていいほどのマイクロミニで、上は、ノーブラのTシャツというかなり挑発した服装だった。
部屋の中は、几帳面な孝雄だったから、常に整頓されていて軽く掃除機を掛ける程度でよかった。
ふと時計を見ると、4時だった。ちょうど、授業が終わるころだった。
野球部の監督の鮫島が、練習を終えて、ここに来るまでには、あと2時間ほど時間があった。
そこで孝雄は、財布を持ちそのままの姿で外に飛び出していった。

急ぐには訳があった。もう少しすると、高校生が帰ってき、さらに時間がたつと、会社帰りのサラリーマンに会う。小走りに急ぐ孝雄のノーブラの乳房は大きくゆれ、Tシャツをも揺らしていた。
息も切れ切れに、コンビニに駆け込み、ビール5本と白ワイン3本、ウイスキー2本を買い物籠にいれレジへと向かった。ノーブラであることを忘れていた孝雄は、Tシャツを、突き破らんかのように突き出た乳首にあわてた。
何より、若い店員のほうが眼のやり場に困っていた。
つまみも買い揃えて孝雄は、酒類を冷蔵庫に入れ、つまみを菓子いれに綺麗に並べていた。
ロックアイスはそのまま、冷凍室にそのまま入れていた。
洒落た氷入れなど未成年の孝雄は持ち合わせていなかった。
テレビはついているが、見るわけでもない。机にはむかってはいるが、勉強するわけでもなかった。
なぜなのか分からなかったが、こんな気持ちは初めてだった。
朝、自分をあんなめに合わせた男を、今心待ちにしているようだった。
トイレにいっては、ショーツを代え、水を飲んでは、ルージュが落ちてないか確認し、歯を磨いては塗りなおし、またファンデーションのはげを気にし、落ち浮いた様子がなかった。

5時半になり、孝雄は再びシャワーを浴びた。今度も入念にボディソープで身体の隅々まで洗い、浣腸も再び行っていた。
シャワールームから出た孝雄は、スキンケアをして、今日二度目の化粧を始めた。
先ほど磨いた歯をチェックしながら、最後の仕上げのルージュを塗り、決めていた服を着始めた。
今度は、ほとんどスリップに近いタンクトップだった。薄手のその生地は、ノーブラを強調していた。
自分の心はなぜこんなにはしゃいでいるんだろうという、行動とは違った考えを持ち始めていた孝雄だったが、それはもう一度、朝のような快感を味わいたいという、本能みたいなものが働いていたのだろうか。
それは、今選んだ服を見ればわかる。かなり挑発的な服装だった。
まるっきり透けて見えるそのタンクトップは、全裸を差し出しているようなものだった。
わずかに隠しているショーツも横の紐をはずせば、すぐ取れる。
豊満な乳房の上にのった乳首は、そのままの形をみせていた。
またかなり大人びて施された化粧は、娼婦を思い出させていた。真っ赤なルージュがそれを物語っていた。
時計が6時半を指したころ、チャイムが鳴った。孝雄は、飛び上がるように玄関へと急ぎ、テレビモニターを見た。オートロックの玄関の外で鮫島が、返事を待っていた。一応、孝雄は、
「どちら様・・・」
と、言った。
「担任の鮫島です・・」
外では鮫島が、いらいらしていた。
「今あけます・・」
玄関ドアーの開くのを確認した孝雄は、自分の部屋のドアーの鍵を開けておいた。
数分の後、またチャイムが鳴る。鮫島だ。ちょっと間をおき、受話器を取り、応対に出る。
「はい・・」
「鮫島だけど・・」
「今行きます・・」
ゆっくり、落ち着いて、心を冷静に、あわてないで・・・そんなことを自分に言い聞かせて、玄関へと向かった。
玄関のドアーを、開けるとそこには、大きな体躯の鮫島がいた。
鮫島は見上げた格好の孝雄のそばによるなり、右手で孝雄を抱き寄せ、いきなり唇を押し当ててきた。
無理やり舌を孝雄の口の中に入れてくる。左手で、器用に内鍵を掛けていた。
さらに舌を入れようと歯や歯茎を舐めまわし、さらにあいた左手で乳房を揉み解し始めていた。
その乳房や乳首への愛撫に孝雄は再び、あの官能がよみがえってきた。
そして声を上げるに至ったが、鮫島に口を塞がれていたため、食いしばっていた口の力を抜くだけだった。
その緩んだ口の中へ鮫島の舌が入り込み、孝雄の舌を絡めていた。
そしてあふれ出る唾を吸い込むよう激しい口づけだった。
舌を絡めた激しいキスに、感じやすくなった乳首への愛撫に頭の芯がしびれててくるのを感じていた。
10分ほどの玄関での愛撫は、孝雄を骨抜きにした。
鮫島はこの部屋の間取りが分かっているかのように、孝雄を抱きかかえ、ベッドへと連れて行った。
そこで再び激しいキスと乳房への愛撫だった。
簡単に脱がされたタンクトップはベッドの脇に捨て去られ、ショーツもすでに、孝雄の身体から離れていた。

鮫島の舌は孝雄の耳の後ろから、乳房、乳首へと移り、液の下や内腿、へと愛撫し続けていた。
それは、孝雄が女性ホルモンを投与し始めてから感じやすくなったところばかりだった。
さらに、孝雄の両足を肩に乗せ小さなペニスをしゃぶっていた。
いくらしゃぶっても勃起などしないと思っていたが、小さいなりに勃起を始めたペニスだった。
それは、鮫島の左手の親指による、ペニスと肛門の間にある身体の繋ぎめへの愛撫のせいだった。
中指は肛門をなぞっていた。その愛撫は、乳房や乳首への愛撫とは比べ物にならないほどの快楽を感じるのだった。
孝雄は何度も、絶頂を感じ、意識の遠のくのを何度も感じた。一時間もそんな鮫島の愛撫が続いただろうか孝雄は、もうへとへとになっていた。
しかし、鮫島の愛撫は終わらなかった。
うつぶせにされ、尻を高く持ち上げられ、両足も大きく広げられたため、孝雄の肛門は鮫島の目にさらされていた。
その肛門に鮫島はクリームを塗っていた。さらに左手中指を肛門の中にいれ、クリームを中まで捩じり込むように塗っていた。
そして、自分のペニスにも塗り終えると、右手で添えながらゆっくりと、孝雄の中へと挿入していった。
半ば意識を失っていた孝雄は、何をされているのか分からなかった。
ただ肛門がみしみしと音を立てて、何か異物の挿入を許していた。
それは初め抵抗していたが、一線を越えたところでするりと入ってしまった。
鮫島の一物が根元まで入ったとき、孝雄は激しい痛みを感じ、
「いたぁい・・せんせい・・・やめて・・」
大きな声だった。しかし完全防音のこの部屋は、外まで音を漏らさなかった。
そんな孝雄の悲鳴にも、かまわず鮫島は一呼吸置いた後、ピストン運動を始めたのだった。
孝雄のほうも、初めの痛みは我慢していたが、そのうちにそれが快感に変わっていった。
10分くらいのピストン運動の後、孝雄の身体の中に厚いものが流れ込むのを感じた。鮫島の射精だった。
孝雄の肛門は鮫島のペニスがどくどくと音を立てているかのように、精液を流し込んでいるのを感じていた。
そのまま繋がったままで一時間ほど休んでいた鮫島は、またピストン運動を始めた。
そんなことの繰り返しが朝まで続いた。

日が差してきた。土曜の朝だった。鮫島の行為はまだ続いていた。これで何回目だろうか。
物凄い鮫島の精力的なセックスだった。
勿論、孝雄にははじめてのことだった。孝雄の下半身はもう麻痺していた。
「せんせ・・一回・・やすもう・・よ・・」
息も絶え絶えに孝雄が、言葉を発した。
「そうだな・・今日明日と・・・時間はある・・・」
といいながら、自分のペニスを、孝雄から離した。ずぼっと言う音を立てながら。
鮫島はそのまま寝込んでしまったが、孝雄は化粧が汗ではげていることのほうが心配だった。
腰が抜けて歩けなった身体を、四つんばいになりながら、バスルームまでいき、かろうじてシャワーを浴びることができた。
浴びているうちに元気が出てきて、立ち上がることはできたが、肛門からあふれ出てくる精液を、名残惜しそうにシャワーで流していた。
バスルームから出た孝雄は、こんなに疲れているのにスキンケアは忘れずに行い、すっぴんを鮫島に見られるのはいやだったが、もう化粧をする元気はなく、そのまま寝入ってしまった。
目覚めた孝雄は、時計を見た。
もう夕方の5時だった。鮫島はまだ寝ている。彼を起こさないように、そっと起き、歯を磨き顔を洗った。
そして入念なスキンケアのあと化粧を施した。
昨夜とは打って変わり、高校生らしいナチュラルなメークにしておいた。

昨夜の余韻の残った身体を、衣類で覆い隠したくなかったが、変になれなれしいやつと思われてもいやだったので、ショーツと大き目のTシャツを着て、食事の支度を始めた。
料理のほうはあまり得意ではないが、簡単なものならと、冷蔵庫の中のものを取り出し、作り始めた。
大方出来上がったころ、鮫島が目を覚ました。
「・・・なんだ、今宮・・・食事をつくったのか・・・」
「おはよ・・・せんせ・・・」
「その先生というのは、違和感があるな・・」
「じゃあなんて・・・」
「・・・・・・きのうはすまなかったな、・・・」
「あやまらないで・・なんか惨めになっちゃう・・」
「そうか・・・許してくれるか・・・」
「許すだなんて・・・」
「・・・・実はおれ、・・・」
「ホモなんでしょ・・・」
「分かってたのか・・・・」
「・・・たぶん、あたしも同じだから・・・・」
「そうか・・・・付き合おうか、おれたち・・・もちろん、内緒になるが・・」
「・・そうね、あたしもこんなこと望んでたかもしれない・・」
急にできたホモカップルは、食事が終わったあと、またセックスに興じていた。
それから、日曜日の午後まで一緒にいた鮫島は、今度は彼の部屋に招待して帰っていった。

麗羅の館Ⅷ

第二話:今宮紗希

全裸になり大鏡に自分の姿を映してみる。
見た目は全くの女性、少女の身体だった、一部を除けば。
嚢の中にはなにもない、棒だけが残されているだけだった。

孝雄はインターネットで知ったある方法でこのいまわしき棍棒を隠そうとしていた。
その準備として接着剤、リムーバー、シェーバー、ビニールテープなどを用意したのだった。
タツク1
サイトの注意道理、作業に入る前に入浴して、皮膚の汚れや油分は落としておいた。
どうやら接着剤の効き目が違うらしい。
“シェーバーで無駄毛を剃って接着剤のつきを良くする”と書いてあるが孝雄の股間の無駄毛はすでに永久脱毛してありハート形の女性的な股間になっていた。
それをさらに接着剤の付くところだけ剃毛する。

こうして下準備をした孝雄は次の説明を読み始めた。

“玉を体内に収納、写真のように指で押し込みます。”
“指で探ってみるとペニスの付け根あたりに玉が収納できる窪みがあるので指でそこに向かって玉を押し込んでください。
慣れないうちは片方ずつ入れたほうがいいです。
何度かやっていると簡単に入るようになります。“


と書いてあるが孝雄にはもう玉、睾丸はなかった。睾丸がないことにより、この痛い感じのする玉の収納をおこなわなくてもよかった。
タック2
次に “ビニールテープを使ってペニスを後ろに引っ張る” とある。
説明どうり、接着作業の邪魔にならないようになるべくペニスの先端部分に貼ってみる。
すぐに剥すみたいなのであまり強力な粘着テープを避け、適度なものを買っておいた。 そしてガムテープより多少伸びる材質のほうが使いやすそうなので吟味して選んでいた。

“この作業から先は完成までトイレに行けません。”

この注意事項に孝雄は急に尿意を催してきた。
急ぎ足でトイレに向かう途中、揺れる乳房を両手で支えていた、ごく自然に。
揺れる乳房を持つ女の身体に自然と女としての仕草が身についてしまったのだった。

トイレに入り便器に腰を下ろす、孝雄は生まれてからこれまで立ちしょんをしたことがない。
物心が付いた時から座って用を足すことを母から躾けられていたのだった。
その躾を中学に入ってからでも守っていて、たとえ学校でも大のほうに入り座って用を足していた。
孝雄自身、立ちションをしたいと思わなかった。
それは自分は女の子だという意識がなくならなかったのだった。
パンツをおろし、便器に腰をおろし、小さなチンコを下に向けちょろちょろとおしっこするのだった。
用をし終わった後、残ったしずくをチンコを振って落とすわけでもない、女の子のようにペーパーで拭きとっていた。
幼いころの遊び相手は母や母が決めた女の子だった。
その女の子の仕草を真似、そして身に付けていったのだった。

そのころと同じように、いやそれ以上に入念にペニスをペーパーで拭くと再び自分の身体を大鏡に映してみる。
やはりこのペニスは邪魔だった、これさえなければ自分は女の子になれるのだと思った。
これがある故に思い切ったファッションをすることができなかったのだった。

ペニスの横からはみ出している玉袋を左右に引っ張って伸ばす
玉袋のたるみを取るようにします。
そうすれば後で玉が下がってくることもありません。

タック3
チンコの先にテープを貼り、説明文のように自分の玉袋を広げた、中に何も入っていない袋はやすやすと広がっていく。
次はとパソコンのモニターを覗き込む。

なになに“接着して割れ目を作るぅ”

次第に孝雄はわくわくしてきていた、自分の忌まわしい股間の膨らみが平坦になっていくのに興奮と期待を持ち始めたのだった。

まず、内側になる部分に皮膚用接着剤を塗ります。接着剤は薄く塗って全体に伸ばすのがコツです。
伸ばした玉袋でペニスを包み込むようにします。
割れ目は写真のように指でつまんで、合わせた部分に瞬間接着剤をつけます。
瞬間接着剤も多くつけないようにしましょう。合わせ目にちょっと垂らせば割れ目に沿って流れてくれます。
合わせた肉を引っ張りながら接着するとそれらしくできます。この部分は自分が納得できる割れ目ができるまで練習しましょう。

タック4
※最後はここまで接着して割れ目の完成!
しゃがんだ状態でテープで引張っているペニスの先っぽが出るくらいが丁度いいです。勃起してこのくらいまでペニスが顔を出すことになります。
ここまで作ったら30分くらいしてからペニスを止めているテープを取ります。
これで女の子の股間の出来上がり♪

タック5
タック6

※立った状態(正面)
テープを取って立ち上がればペニスは割れ目の中に引っ込みます。
正面から見れば割れ目しか見えないので完全にペニスを隠すことができます。

タック7
大鏡に自分を映してみる、なるほど写真のように自分からペニスは消えていた。
あとは三十分待ちテープを剥がすだけだった。

そのまま後ろも確認してみた、そしてそこには写真のようにペニスはお尻の割れ目の奥に隠れて見えない。
こうして疑似オマンコは完成したのだった。
タック8
最後に補足事項が書いてある
おしっこをするときは女の子のようにしゃがんですることになります。
しゃがめば割れ目の奥に引っ込んできたペニスの先っぽが出るのでそのままおしっこをすることができます。
尿道が圧迫されているためにおしっこの後はキレが悪くなっています。
おしっこの後はペーパーで拭くのを忘れないようにしてください。
また肛門とおしっこの出口が近くなるので、ウンチをしたときは前から後ろに拭くようにしてください。

タック9
三十分が待ち遠しかった。
しかしここまで完璧にできたのだ、孝雄ははやる心をおさえ待ちに待った。

やがて時計の針は午前七時を指し、三十分はたった。
孝雄は期待と不安の入り交ざった気持ちで恐る恐るテープを剥がしていく。
柔らかいテープを選んで正解だった、痛みもそれほどなくやすやすとテープは剥がれていく。

そして平坦になった股間を隠すショーツを穿いた。
この三十分の間、選んでおいた可愛いピンク地のショーツだった。
お揃いのブラを着け、制服であるブラウスを着る。
軽いメイクの後ブレザーを羽織る、そして長い髪をブラシで梳かし、可憐な女子高生の出来上がりだ。

このタックの方法を機能に日曜の午後に知り、急いで用品を揃えたのだったが急なことだったので昨日のうちに練習ができなかったのだった。
今朝はぶっつけ本番のタックだったが思いのほかうまくできたので女子の制服で登校しようという気になったのだった。
股間さえうまく隠せれば女子として過ごす自信はあった、たとえ電車の中で痴漢にあっても・・・・

初めて女子の制服で登校する孝雄はクラスメイトの女子のようにスカートのウエスト部分を折り、マイクロミニにする。
男を挑発する行為だった、普通の女子高生はこのマイクロミニに対し見せパンを穿く。
しかし孝雄は恥かしい勝負パンツをはいていたのだった。
勿論階段では周囲の目を気にしなければならない、いや階段だけではい、ちょっとした仕草でパンツを誰かに見られるかもしれない。
だがこの平坦な股間ならそれも構わないと思っていた。
このタックは孝雄を大胆にさせていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今回は女装向上委員会:女の子の股間を作る:"小夜子の気になる情報"を勝手に引用させていただきました。
小夜子さんごめんなさい、アタシには経験できないので・・・
女装向上委員会/http://kokan.tvlife-net.com/0008.htm


興味のある方はどうぞ!




プロフィール

megumi2001

Author:megumi2001
仕事・家事・執筆・・・・忙しく動いています
家事は・・・新彼と同棲中・・・・なので
更新、遅れ気味で・・・

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